需要を調整する方法

交通需要マネジメント(TDM)施策、マルチモーダル施策

交通需要マネジメント(TDM)施策、マルチモーダル施策

TDM(交通需要マネジメント)

TDM(交通需要マネジメント)とは?

 車の利用者の交通行動の変更を促すことにより、都市または地域レベルの道路交通混雑を緩和する手法の体系です。
 円滑な交通流の実現により、環境の改善、地域の活性化も図られます。
 交通需要マネジメントは海外ではTransportation Demand managementと呼ばれ、その頭文字TDMが国際的に用いられています。

  • 自動車の効率的利用
  • 自動車の効率的利用をすすめます。
    相乗りや共同集配などにより、自動車交通量が減少します。

  • 経路の変更
  • 経路の変更をすすめます。
    道路交通情報などにより、混雑地域の交通量が分散されます。

  • 手段の変更
  • 手段の変更をすすめます。
    駅前の整備、バスレーンの設置など公共交通機関を使いやすくすることにより、自動車交通量が減少します。

  • 時間の変更
  • 時間の変更をすすめます。
    フレックスタイムなどにより、ピーク時間に集中していた交通量が平滑化されます。

  • 発生源の調整
  • 発生源の調整をすすめます。
    交通負荷の少ない土地利用や勤務形態などにより、移動量が減少します。

バスや電車の利便性の向上

スピードをアップさせ、決まった時間に発着できるようにする。

①交通番号をバス優先で切り替える。(公共車両優先システム(PTPS)の導入)
②利用者の多い路線に急行バスを走らせる。

バスや電車の利便性の向上
各種交通機関のつながりをスムーズにする。

①駅前広場にバスターミナルを整備する。
②鉄道駅やバスターミナルにパーク・アンド・ランド用駐車場を整備する。

バスや電車の利便性の向上
バスや電車の利便性の向上 バスや電車の利便性の向上

時差出勤で仕事も効率アップ

 広島市では中心部のデルタ内に企業が集中し、渡河部を中心に通勤通学時にひどい渋滞が発生しています。国家公務員や多くの企業では、営業効率の向上や労働条件の改善のため時差通勤(フレックスタイムを含む)を実施していますが、これにより労働環境が改善されたばかりでなく、通勤時間が短縮されるなど、通勤環境の改善も図られています。
 広島市周辺では、道路交通混雑緩和の観点から、平成7年4月より交通対策本部幹部事申合せに基づき、時差通勤通学を推進しています。自転車利用者の時差通勤通学の推進により、交通の分散が見受けられます。

時差出勤で仕事も効率アップ
時差出勤で仕事も効率アップ
時差出勤で仕事も効率アップ

※交通対策本部
交通の安全の確保並びに都市における交通の円滑化等に関し、効果的な対策を推進するため、総務庁に置かれた関係行政機関で構成される組織。

観光シーズンには迂回路情報を提供

 鳥取県の東部地区には、鳥取砂丘、浦富海岸、白兎海岸など、山陰地方を代表する観光地が集中しています。このため昭和62年から観光客や帰省客の集中する期間中は渋滞を防ぐために、国道9号、29号、53号などの主要道路に迂回路を示す臨時交通標識の設置や、チラシを配布。地域を上げて渋滞の緩和に取り組んでいます。

観光シーズンには迂回路情報を提供
観光シーズンには迂回路情報を提供
観光シーズンには迂回路情報を提供

トラックベイ・タクシーベイの導入

 広島市では荷物積み降ろし中のトラックと客待ちタクシー用の駐車スペースとして、広島市中心部のバス停の切り込み(バスベイ)が解放されています。

トラックベイ・タクシーベイの導入
トラックベイ・タクシーベイの導入

パーク&(バス)ライド、パーク&ライド駐車場の整備

パーク&(バス)ライド駐車場

 都市へ流入する自動車を削減するために、郊外部で自動車から鉄道、バスなどの大量公共輸送機関へ乗り換えるパーク&(バス)ライド駐車場を整備します。

パーク&(バス)ライド駐車場

路面電車の整備支援、新交通システム、都市モノレールの整備支援

路面電車、新交通システム及び都市モノレール

 路面電車のピーク時輸送力や都市環境保全上の利点に着目し、路面電車の利便性向上に資する施設や走行可能な道路整備を促進します。
また、都市において道路空間を有効に活用し、道路交通の円滑化を図るため、新交通システム及び都市モノレールの整備を推進します。

路面電車、新交通システム及び都市モノレール

トランジットモールの導入

トランジットモール

 商業地域の特定道路において、一般の自動車交通を排除して、バス・路面電車と自転車・歩行者の専用とすることによって、歩行者の安全と交通手段の双方を確保します。また、中心市街地の活性化にも貢献します。

トランジットモール

自動車レーン、自転車駐車場整備

自動車レーン、歩道、自転車駐車場

 自転車の利用や徒歩を推奨するために、自転車レーンや幅の広い歩道、鉄道駅、バス停などを整備し、大量公共輸送機関との結節点においては自転車駐車場を整備します。

自動車レーン、歩道、自転車駐車場

鉄道と高速バスの結節強化

高速バスの利便性の向上、鉄道の利用促進

 都市の近郊において、高速バスのバスストップと鉄道駅相互の連結を強化することにより、高速バスと鉄道との乗り継ぎ利便性を向上させます。また、輸送力、定時性に優れた大量公共輸送機関として地下鉄等鉄道の整備等を促進し、利用の促進を図ります。

高速バスの利便性の向上、鉄道の利用促進

駅前広場の整備、歩行支援施設の整備

駅前広場と歩行支援施設

 駅前広場や駅内外の歩行支援施設を整備することにより、駅前に集中する交通を効率的にさばき、大量公共輸送機関相互の利便性を高め、都市交通の円滑化を図ります。

駅前広場と歩行支援施設

ことばの解説

交通需要マネジメント(TDM = Transportation Demand Management)
⇒ 車の利用者の交通行動の変更を促すことにより、都市又は地域レベルの交通渋滞を緩和する手法の体系。

カープール、バンプール
⇒ 相乗りの形態で乗用車による相乗りをカープール、バンによる相乗り(相乗り人数が多い場合)をバンプールという。

ロードプライシング
⇒ 渋滞地域や渋滞時間帯の道路利用に対して、課金により大量公共輸送機関の利用促進や時間の平準化を図るTDM手法。

HOVレーン
⇒ 多乗員車優先レーン(HOV = High-Occupancy Vehicle)

パーク&(バス)ライド
⇒ 都市の外縁部において、1人乗り車から鉄道、バス等の大量公共輸送機関へ乗り換える手法。

共同集配
⇒ 貨物車の積載効率を高め、効率化を図るために、個別に行われていた物資の集配を共同集配センターで行ったり、共同集配用のトラックが各店舗の集配を行う仕組み。

ロジスティクスセンター
⇒ 貨物車の積み替え基地としての機能を有する広域物流拠点。

トランジットモール
⇒ 一般の自動車交通を排除して、バス・路面電車などを配して、歩行者の安全と交通手段の双方を確保したもの。