一般国道2号 福山道路

福山道路への主な質問及び回答

平成18年9月4日に頂いた御質問とその回答

【問】

はじめに
2006年2月28日開催の「瀬戸学区事業説明会の質疑応答概要など」に関して改めて次のような質問をします。

1、N0.3の予想交通量について

  • ①平成42年の予想交通量を用いたというが環境影響評価の予想交通量に比べて増えているが、車種別に示すこと。
  • ②福山バイパスの供用開始年度は、平成42年度なのか? 平成20年代の前半なのではないのか? なぜ、平成42年度の予想交通量を使うのか?を説明すること。また、この交通量予測の精度(予測の幅)を示すこと。
  • ③四季観測現地調査をバックグランドとして用いたというが、この四季の松永局のものと比べると数値が低いのではないか。具体的に説明すること。
【回答】
①について   
 環境影響評価に用いる交通量は,「道路環境影響評価の技術手法」に従い,予測対象時期における日交通量を基に,大型車と小型車の2車種について既存の類似地点における時間変動をあてはめ,時間別交通量を設定しますが,この2車種の時間変動については別紙1に示すとおりです。
 なお,類似地点については,一般国道2号福山市内で,特定の施設等の関連車両の影響が少なく,他の観測地点に比べ大型車混入率が高い地点としています。
② について
 現在事業中の福山道路(瀬戸町長和~赤坂町,延長L=3.3km)については,平成20年代前半の暫定2車線供用を目標に事業を進めています。一方,「福山道路・福山西環状線・福山沼隈道路の環境影響の照査結果」(2006年(平成18年)2月)では,福山道路の場合,全線(笠岡市茂平~福山市赤坂町,延長L=16.5km)4車線という前提条件の下,平成11年交通流動実態調査をベースとした現時点で最新の平成42年予測交通量に基づき,環境影響を照査しています。
 なお,予測交通量については,道路の種級区分や車線数等,様々な前提条件の下で得られるものであり,ご質問にある「予測の幅」といったものは現段階ではありません。
③ について
 今回の照査では,事業説明会等における要望に基づいて,瀬戸学区の山北地区及び地頭分地区において2002年(平成14年)~2003年(平成15年)に実施した大気質の四季観測結果を最新のデータとしてバックグラウンド濃度に用いていますので,同時期の一般環境大気測定局松永支所における測定値とは異なっています。
 なお,現地調査と松永支所の比較は,別紙2のとおりです。
【問】
2、NO.4の回答について
建設省(当時)令の別表第二の二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の予測手法としては、「プルーム式及びパフ式による計算」があげられているが、第10条(予測の手法)について、「当該選定事項の特性・事業特性及び地域特性を勘案し、選定項目に係る評価において必要とされる水準が確保されるようにしなければならない。」と記述されている。
 「四季の観察期間については、全国的に確立された手法である」との主張は、予測とは無関係な現地調査に関する規定である。(省令9条第1項5号の3)
 また、「風向・風速については…概ね1年間の値になるよう概算したものである」というが、どのような方法でどのような期間平均に概算したのかを明らかにすること。
【回答】
 大気質の現地調査は,バックグラウンド濃度を設定するための現況濃度の把握及び気象条件の設定を目的として実施するものであり,瀬戸学区での現地調査は,建設省令に基づき,春夏秋冬ごとにそれぞれ1週間の連続測定を行っています。
 また,「道路環境影響評価の技術手法」において,予測のための気象条件は,原則,風速について,既存資料のデータを現地調査結果に基づき補正して設定することとされており,風速は現地調査で得られた風速データと,「福山特別地域気象観測所」における同一時期の風速データとの相関分析から得られた回帰式によって補正したものを用い,風向は「福山特別地域気象観測所」における同一時期の通年データを用いています。
【問】

3、NO.14、15、16、17

  • ① プルーム・パフ式はあくまで標準手法であって、地形条件などを考慮した予測モデルではない。また予測の要である拡散幅は全国一律の値であって地域特性などを考慮されていない。
  • ② 東京都環境影響評価条例の技術指針の手引書(S58年度版)では、「気象条件および物資の排出条件の時間的変化、臨海部における海陸風の循環、複雑地形の影響等を考慮しなければなら場合には、プルーム・パブモデルでなく、差分モデルの利用を検討する」としている。
    この瀬戸地域でも差分モデルを実施すべきである。
    (注 差分モデルは三次元流体モデル)
  • ③ 東京エンジニア株式会社の平成9年3月に出した報告書の中に、「プルーム・パブモデルは単組化された条件が前提として導出されたものである。」と述べており、
    • (ア)風向についてプルーム式は一方向に一様な風としているため、山谷地形などで風向きが場所によって大きく異なる場合にはこのモデルの適用は無理である。
    • (イ)風速が場所によって大きく異なる場合には、適用は無理である。
    • (ウ)気温の垂直方向の勾記は考慮されていないから、著しい接地逆転現象が起っている場所には適用できないなどと書かれている。
  • ④ 国土交通省国土技術政策総合研究所の道路環境研究室が公表した「平成11年度に実施した調査・試験・研究の成果概要」の文の中に「谷や盆地のような局所的に閉じた地形においては逆転層発生時には大気汚染物質が滞留し、大気汚染の影響が顕著になると考えられるが、現在のところこのような地形による逆転層の影響を予測することができないため、その予測の手法の確立が必筆である。」
  • ⑤ 前参議院議員 中村敦夫氏の質問主意書に対する政府答弁書
     平成14年6月14日質問主意書提出、平成14年7月19日答弁書
    (内閣参質154第27号)
    ◎質問(主旨)
     環境影響評価等で複雑な地形・土地の起伏や街並みなど現実の地形に即してシュミレーション等がなされるべきだと考えるが、プルーム・パフ式でできるのか。
    ◎答弁(主旨)
     大気汚染の予測においては、一般的な予測方法である拡散式(プルーム・パフ)を基に、実施しているが、お尋ねのような予測方法は、いまだ確立されておらず、その確立が望ましいと考えている。

以上①)~⑤の観点から、瀬戸町や津之郷町のような山あり、谷ありの土地や風向・風速が変化するところや津之郷小学校付近ではプルーム・パフ式では不適当だと思われるので,最新の技術で(差分モデル等)予測すべきである。


【回答】
 大気質の予測式として用いられているプルーム式及びパフ式は,地域特性等を考慮した係数を適切に設定することにより,地形条件を考慮した予測ができる一般的な手法とされています。
 このため,福山道路の環境影響評価や環境影響の照査においても,大気質の予測にはプルーム式及びパフ式を採用しています。
【問】
4、① 瀬戸町での「四季観測の現地調査による照査結果」でどうしてバックグランド濃度が推定できるのか説明すること。
② 「福山の環境でH8年~H15年にSPMは横ばいか、若干微減傾向であり、大気環境は徐々によくなっていることかわかる」と述べているが、バックグランドが極端に下がった原因は何かを説明すること。また、この期間での福山市内の自動車交通量特に大型トラックの交通量がどのように変化しているのかを示すこと。
【回答】
①について
 大気質の予測においては,大気質のバックグラウンド濃度と気象条件を設定する必要があり,大気質の現地調査は,バックグラウンド濃度を設定するための現況濃度の把握及び気象条件の設定を目的として実施しています。
 現地調査の期間は春夏秋冬の1週間の連続測定としていますが,これは,大気質の年平均値を精度良く推定することができ,予測精度を確保する気象データが得られることによる他,1週間には社会活動や気象の変動の周期が含まれることなどが考慮され設定されています。
② について
 「福山の環境」(福山市)におけるSPM濃度の年平均値の推移をみると,全体としてほぼ横ばいか,若干の微減傾向となっておりますが,原因は明らかになっておりません。
 また,御質問の大型トラックが何を指しているのか不明確であるため,参考までに一般国道2号福山市津之郷町における道路交通センサスの1994年(平成6年),1997年(平成9年)及び1999年(平成11年)の普通貨物車に係るデータを次のとおりお示しします。

※普通貨物車には,特種(殊)車が含まれる。

出典:道路交通センサス

【問】
5、NO.27の自動車免許保有率と自動車交通量とは比例しないと考える。たとえば、ペーパードライバーの増加も考えられるし、わざわざ高齢者が渋滞時間を選んで運転することは考えられない。当局の見解を聞きたい。
【回答】
将来交通量の予測は,単に人口のみではなく,免許保有率・自動車保有台数等の将来予測も踏まえ,行っています。
 なお,人口が増加しない状況下においても,自動車交通量が増加した実例として,参考までにヨーロッパ先進国の例を次図のとおりお示しします。


出典:国土交通省道路局HP「自動車の交通需要予測について(概要)」

【問】
6、今までの説明で沿道の大気をよくするために、脱硝装置を設置するということであったが、東京松原交差点での実験結果は、「一定の除去能力は確認されたが、沿道の大気濃度の改善について、観測データ上では運転時と停止時に明確な差は確認できませんでした」(05年4月27松原橋大気浄化実験の結果報告東京都)この報告についてはどのような見解か。お尋ねしたい。
【回答】
「松原橋交差点の環境対策実験・松原橋大気浄化実験の結果報告」(平成17年4月27日)のまとめによれば,「土壌を用いた大気浄化実験の結果,実験施設により吸気した交差点内の自動車排出ガス等の除去については,一定の除去能力(除去率,除去量)を確認した。また,今回の実験により,人工土壌を用いて従来よりも通気速度を上げることで,ほぼ一定の除去率を確保したうえで,除去量が増加することが認められた。ただし,交差点周辺の大気改善効果については,運転時と停止時に明確な差は見られず,沿道の大気濃度の改善効果について,観測データ上では確認できなかった。」とされていますが,本報告は関東地方整備局及び東京都によるもので,福山河川国道事務所としては見解をお示しする立場にありません。
【問】
7、「環境基準を満たした」からといって、ことを進めるのではなく、今の環境をよくしていくという観点で環境行政を進めてほしい。特に、SPMについては、粒の細かいものが人間などの体に悪い影響をもたらす。いわゆるPM2.5以下の微粒子を規制すべきだ。そのためには、SPMの発生源別割合を早く調査し、大気汚染の改善に努めること。
【回答】
 環境基準は「人の健康を保護し、生活環境を保全するうえで維持することが望ましい基準」として定められており、「備後地域公害防止計画」(平成17年3月広島県・岡山県)においては、SPMは、大気の汚染に係る環境基準を達成することを目標としています。
 なお,御意見は環境行政への御要望となりますので,担当部署へ主旨をお伝えします。
【問】
8、06年5月30日に開かれた、福山市の都市整備特別委員会で、ある議員の質問に建設局の担当官が
「(プルーム・パフ式は)ある特定の条件の場合だけに限っては、解析的に解けるものです。」と答えている。自然界では、風向や風速が一定であるという「特定条件」というのはおこりにくく、風向・風速は絶えず変化している。したがって、建設局の担当官のいう、「特定の条件の場合だけに限って成り立つ」と考えるならば、瀬戸町などのように複雑な地形、条件の違うところでは、プルーム・パフ式は使えないのではないか。
【回答】
 大気質の予測式として用いられているプルーム式及びパフ式は,地域特性等を考慮した係数を適切に設定することにより,地形条件を考慮した予測ができる一般的な手法とされています。このため,福山道路の環境影響評価や環境影響の照査においても,大気質の予測にはプルーム式及びパフ式を採用しています。
【問】

9、広島県は、福山地方における、SPMの発生源別割合の調査を実施しているが、その調査結果を公表してほしい。
 また、この調査はどこまで進んでいるのかも明らかにしてほしい。
◎その他、疑問や質問が出てきたら、その都度質問するので、答えていただきたい。

【回答】
 現地でのデータ収集は2005(平成17)年度に実施し,現在はデータの分析を行っているところであり,その結果については2006(平成18)年度中に公表の予定としています。
【別紙1】
平成9年道路交通センサス、平成11年道路交通センサス

【別紙2】
調査地点 瀬戸町地頭分 瀬戸町山北 松永支所局(月平均値)
項目 窒素酸化物 二酸化窒素 浮遊粒子状物質 窒素酸化物 二酸化窒素 浮遊粒子状物質 窒素酸化物 二酸化窒素 浮遊粒子状物質
春季 0.023 ppm 0.016 ppm 0.033 mg/m3 0.038 ppm 0.024 ppm 0.035 mg/m3 0.040 ppm
0.041 ppm
0.024 ppm 0.045 mg/m3
0.027 ppm 0.041 mg/m3
夏季 0.023 ppm 0.013 ppm 0.031 mg/m3 0.012 ppm 0.006 ppm 0.025 mg/m3 0.024 ppm 0.015 ppm 0.033 mg/m3
秋季 0.012 ppm 0.008 ppm 0.014 mg/m3 0.022 ppm 0.014 ppm 0.024 mg/m3 0.036 ppm 0.023 ppm 0.035 mg/m3
冬季 0.029 ppm 0.012 ppm 0.023 mg/m3 0.020 ppm 0.010 ppm 0.023 mg/m3 0.042 ppm 0.021 ppm 0.021 mg/m3
四季平均値 0.022 ppm 0.012 ppm 0.025 mg/m3 0.023 ppm 0.014 ppm 0.027 mg/m3 0.036 ppm 0.021 ppm 0.034 mg/m3
0.036 ppm 0.022 ppm 0.033 mg/m3
測定期間 春季:平成14年 3月23日~29日
夏季:平成14年 8月25日~31日
秋季:平成14年10月22日~28日
冬季:平成15年 1月15日~21日
春季:平成15年 4月15日~21日
夏季:平成14年 8月 3日~ 9日
秋季:平成14年10月22日~28日
冬季:平成15年 1月15日~21日
春季:(上段)平成14年 3月
(下段)平成15年 4月
夏季:平成14年 8月
秋季:平成14年10月
冬季:平成15年 1月
四季平均値:
(上段)春季は平成14年3月データを使用
(下段)春季は平成15年4月データを使用

出典:福山市の環境(福山市)

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