昭和62年度
広島県宮島町
  宮島は、本来の島名を厳島といい、日本三景の一つとして全国に名を知られている。
 昭和23年から25年にかけて、島内を流れる砂防指定地紅葉谷川において土石流災害復旧工事が施行されたが、このうち下流約1キロメートルの間は史跡名勝の地としての景観をそこなわないよう、庭園砂防と呼称される方法が用いられた。
 これは、土石流に混在していた巨石や大小さまざまの石材を傷つけず、割らず、巧みに組み重ね、庭園ふうに仕上げたものである。また、周囲の樹木は1本たりとも伐採せず、人工的なコンクリート部分は野面石で包んで人目にふれないよう工夫するとともに、流水にはところどころに淀みを与え一層庭園の趣をかもし出し、外国の学者、建築家の間でも絶賛を浴びている。
  庭園砂防が整備されて以来、土砂害は一度もなく、訪れる人々は安心して水辺に遊び、沿川の小道を散策することができ、付近住民はもとより全国津々浦々からの観光客にも、憩いの場として愛され親しまれている。
所在地 広島県宮島町紅葉谷
諸元 流路工:延長1,650m
材料 石材
イベント 写生大会、自然観察会、お茶会、撮影会