長距離バス(広島松江間)における緊急通報システムの導入とバス位置情報、到着予測時刻の提供について
長距離バスの運行について、安全性の向上を図るため、広島電鉄株式会社と一畑バス株式会社は、広島市と松江市を結ぶ長距離バスに緊急通報システムの導入を行うこととして準備
に入りましたのでお知らせします。
また、建設省広島国道工事事務所と松江国道工事事務所及び広島電鉄株式会社、一畑バス株式会社は、同路線のバスのリアルタイム位置情報の提供と各バス停の到着予測時刻の提供
を行う準備に入りましたのでお知らせします。
緊急通報システムとバスのリアルタイム位置情報を組み合わせた防犯対策システムは全 国で初めての試みです。
1.長距離バス(広島松江間)緊急通報システムの導入について
- @背景
- 高速自動車国道等高規格な道路網が整備され、遠くへの自動車による移動が可能となる中、バス路線においても、安価で遠くまで短時間に行くことが出来る長距離バスの需要が高まり、各バス会社で長距離バスの運行を盛んに行っております。
ところが、去る5月のゴールデンウイーク中、九州でバスジャック事件が発生し、乗客に死傷者が生じる事態となり、長距離バスの運行中の犯罪等に対する安全性につい
て議論を呼ぶこととなりました。
また、その後も大阪で、金銭強奪を目的としたバスジャックが起きており、バスの運行に関する安全確保について早期の対応を求める声が強くなっている状況にあります。
- A検討内容
- 広島電鉄株式会社、一畑バス株式会社では、長距離バスの運行にあたり、運行中の安全性の確保について検討を行って参りましたが、犯罪等の緊急状態の早期把握、早期の対応を目的として、移動中のバスからの緊急情報が確実に各社に連絡される緊急通
報システムの導入を図ることとしました。
導入にあたっては、手始めに、利用者数、便数が多く中国山地を横断する広島松江間の長距離路線から安全性の向上を目的に試験的に行うこととしました。
- Bシステム概要
- 犯罪等の緊急事態発生時には、従前の、運転手からの携帯電話や無線機による通報に加え、緊急通報システムにより、広島電鉄株式会社、一畑バス株式会社に通報が入る
こととします。
- Cメリット
- 本システムの導入により、犯罪等の緊急事態発生の迅速な把握と対応が可能となるため、早期解決が可能となると考えられるとともに、本システムが導入されていることで、未然に犯罪等人為的な緊急事態を防ぐことが出来るものと考えています。
また、後述の移動体インテリジェントロケーションシステムと併せて活用することにより、移動中のバスの位置をリアルタイムで把握できるため、路線を逸脱したり、緊急時に停止した場合等の異常事態を営業所でモニタリングできることもメリットとなり、二重の安全性が確保できます。
- D今後の展開
- 今回の試験導入の結果を見ながら、他の長距離バス路線についても、導入を図ってい く予定です。
また、バス運行位置情報のモニタ活用の高度化を図り、バスの運行状態から異常把握を行うシステムも検討していく予定です。
2.長距離バス(広島松江間)バス位置情報、到着予測時刻の提供について
〜移動体インテリジェントロケーションシステムの導入について〜
建設省松江国道工事事務所
建設省広島国道工事事務所
広島電鉄株式会社
一畑バス株式会社 |
- @背景
- 警察庁、通産省、運輸省、郵政省、建設省の関係5省庁により、最先端の情報通信技 術による新しい道路交通システムITS(Intelligent
Transport Systems)施策を推 進していくこととしています。 ITSは、最先端の情報通信技術を用いて「人」、「道」、「車」を「情報」によっ
て一体化しようとする新しい道路交通システムです。
ITSは、@ナビゲーションシステムの高度化、A自動料金収受システム、B安全運 転の支援、C交通管理の最適化、D道路管理の効率化、E公共交通の支援、F商用車の支援、G歩行者の支援、H緊急車両の運行支援の9つの開発分野から構成されてお
り、道路交通の安全性・運輸効率・快適性の向上、環境の改善、新たな産業の創出など、他地域・経済の活性化を含め、様々な期待が寄せられています。
- A検討内容
- 建設省松江国道工事事務所、広島国道工事事務所においては、ITSを推進していく にあたり、身近な技術を利用して出来るだけ早く皆さんにITSを感じていただくように、各種のサービスを導入していくこととしており、今回は広島電鉄株式会社、一
畑バス株式会社と連携し、GPSや携帯電話網といった通信技術を活用したバスの運行状況を広島松江間で試験的に提供することとしました。
車両にGPSによる位置情報装置と通信装置を搭載し、その情報をリアルタイムに収 集することで、道路上の車の流れを把握して今後の道路政策に生かすことが出来るとともに、バスの位置情報、到着予測時刻の提供により、公共交通の利便性向上、利用
促進にもつながります。
導入するにあたっては、各バス停の到着予測時刻に限らず、現在運行中のバスの位置をリアルタイムに提供することで、最寄りのバスが現在どこにいるのかを利用者が把
握できるシステムとしています。これにより、バス利用者の方々には視覚的にバスの位置を把握していただけます。
特に、冬期の積雪等により運行ダイヤの乱れる広島松江間については、到着予測時刻 は大いに役立つものと考え、試験的な提供開始を行うこととしました。
- Bシステム概要
- GPS(全地球測位システム)とパケット通信網を利用した長距離バスのロケーション情報システムです。

※本システムは構成及び画面構成は現在開発中であり、実際のものとは異なる場合もございます。
- C情報提供方法及び内容イメージ
- ■インターネット対応携帯電話(i-mode等)
インターネット対応携帯電話
■インターネット
拡大地図

※本システムは構成及び画面構成は現在開発中であり、実際のものとは異なる場合もございます。
- Dメリット
- 本システムを導入することにより、インターネット対応携帯電話に各バス停へのバス の到着予測時刻を提供できますので、バス利用者のバス停で定刻になっても来ないバスを待ちながら、「もうバスは行ってしまったのか」、「まだ来ていないのか」とい
った不安な状況が無くなります。
特に、工事の規制や冬期の積雪等により大幅にバスの運行ダイヤが乱れる場合、当システムによる到着予測時刻は、バス利用者にとってのメリットは非常に大きいものと
考えています。
また、インターネットによる提供では、現在バスのいる位置も表示されますので自分の利用しようとしているバスが、今どこを走っているのかを確認することもできます。
また、当システムによるバスの運行状況は、前述の緊急通報システムと併用することにより、緊急事態把握の補助情報として活用することとしています。
- E今後の展開
- 移動体インテリジェントロケーションシステムは、バスに限らずトラック、タクシー等の移動体に利用が可能であり、道路の利用の仕方を多面的かつ詳細に把握できるよ
うになります。また、建設省としては、道路を利用する公共交通機関の利便性向上を支援することとしており、今後その他の道路公共交通機関への適用を図っていく予定
です。
3.導入スケジュール
平成12年7月 |
移動体インテリジェントロケーションシステム及び緊急通報システムの開発着手 |
平成12年9月 |
システム試験運用開始(予定) |
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