河川沿いに、「一級河川○○川」「二級河川○○川」といった看板が立てられています。
今回のご質問は、この「一級」「二級」について疑問を持たれたものと思いますので、その説明と致します。
これは、河川を取り扱う上での、法律上の分類を示しているものです。では、「何の分類」かを、多少、歴史を振り返りながら、ご説明します。
古くから、人は河川の周りに住み、川の水を用いて穀物をつくるなど、川は私たちの生活の源となってきました。現在も、川の水は、私たちの日常生活に欠かせない上水道(飲料水、日々の生活用水など)、農業用水、工業用水、水力発電など、に利用されており、私たちの生活と文明の源です。
その一方で、人と川とのつきあいは、河川洪水との闘いの歴史でもあります。降雨・増水による河川の氾濫から私たちの生命、財産を守るため、堤防を築いて洪水を防ぐ、ダムをつくって洪水を調節するなど、さまざまな工夫がこらされてきました。その努力は、現在も、これからも続きます。
さらに、河川の敷地は、野球・サッカーなどのスポーツや、キャンプ・ピクニックなど、レクリエーションや憩いの場として多くの人々に利用されています。
このように、河川の洪水災害を防ぎつつ、河川の水が上手に使われ、皆さんの生活が豊かなものになるよう河川が役立つようにする取り組みを、「河川の管理」と言っています。
河川洪水を防ぐために堤防をつくったり、ダムをつくったり、河川の水の利用を調整したり、あるいは河川敷の使用を秩序立てたり、河川の水質を守ったり、河川の貴重な生物や植物を保護したりと、こういった河川の管理を行う行政機関には、二種類があります。
その二種類とは、「国土交通大臣」と、「都道府県知事」です。
つまり、たくさんある河川のうち、法律で決めた「河川」を、この二種類の行政機関で、分担して管理しているわけです。
その分担で、国土交通大臣が管理する河川を「一級河川」、都道府県知事が管理する河川を「二級河川」と名付けたものです。
この分担は、「河川法」という法律で定められているものです。
さて、私たちは「河川」という言葉を使いますが、河川も大きなものから小さなものまでいろいろです。
この河川法に基づいて、管理をする河川が、一級河川と二級河川です。
河川法をあてはめない河川は、普通河川と言っています。ただし、一級河川、二級河川でなくても、河川法を使って管理する必要があれば、河川法を準用して市町村長が管理する場合があり、これを準用河川と言っています。
ちなみに日本全国では、一級河川が13,979河川、二級河川が7,071河川あります。
<平成13年4月30日現在。出典:河川ハンドブック(社)日本河川協会発行>
なお、一級河川は国土交通大臣が管理しますが、その仕事の一部を都道府県知事及び指定都市の市長が決定受託しています。 |