坂根堰定期報告書 審議内容の概要(案)


1.洪水調節
@旧坂根堰と吉井堰を統合して、可動堰である坂根堰を建設したことにより、流下能力が向上し、洪水を安全に流下することができるようになった。
A坂根堰は昭和55 年の管理開始以降78 回の洪水の流入を記録した。
B平成10 年10 月の台風10 号における洪水においては、既往最大値を記録したが、坂根堰の適切なゲート操作により流入した洪水を阻害することなく流下させることができた。
C引き続き洪水時には適切なゲート操作を行っていくとともに、ゲート操作結果の検証を行っていく方針である。
2.利水補給
@工業用水は、50%〜60%程度、一部90%となっており、上水道は、50%程度と近年減少している。
A今後も適切な施設の維持管理に努め、適切な運用を行うとともに、必要な低水管理を行う。
3.堆砂
@坂根堰は、管理開始以降平成18 年まで26 年経過しており堆砂量は-265 千m3 と洗掘が進行している。坂根堰の下流河床の変動は、直下流において若干低下傾向が見られるが、その下流では明確な変動は見られない。
A今後も堆砂量の監視を行い、また、上流新田原井堰から下流まで流域全体に渡る土砂の移動形態を把握すべく、土砂移動の検証を行っていく。
4.水質
@生活環境項目については、いずれの地点も大腸菌群数が年により環境基準を達成していない。堰下流では、感潮域の永安橋でBOD が平成2 年、平成17 年において環境基準を達成していない。その他の項目は、環境基準を達成している。
A健康項目は、全地点の全項目で環境基準を達成している。
B坂根堰の影響による水質障害に関する問題は確認されていない。
C環境基準の生活環境目・健康項目については、堰湛水域の水質管理上基本的な項目であるため、これまでと同様に引き続き調査を行う。なお、下流への影響を把握するため、窒素については、総窒素のみではなく無機態窒素についても調査を行う。
5.生物
@坂根堰周辺の自然環境は、堰建設後27 年が経過していることもあり、堰湛水後の自然環境として比較的安定した状況にあるといえる。
A堰湛水域内では、各地で問題視されている特定外来生物であるオオクチバス、ブルーギルの生息が確認されている。
B今後も河川水辺の国勢調査等を活用し、生息状況等をモニタリングしていく。
C環境保全対策と実施している魚道については、魚道効果の把握を目的としたモニタリング調査を実施し、必要があれば改善措置を検討する。
6.水源地域動態
@堰周辺地域の人口と世帯数は備前市を除いて横ばいまたは増加傾向にあり、1〜2 人世帯が60%近くを占め、都市部でも世帯が小さくなっている。
A坂根堰では農業技術者をはじめとする見学者を受け入れている。
B吉井川の平成18 年度の年間利用者数は約54.6 万人と推計された。
C坂根堰の生み出す平穏な止水域と高水敷及びその周辺の整備された空間は、人々を呼び込んでおり、吉井川フェスタや瀬戸内バルーンフェスタなどが開催され利用されている。
D引き続き堰と周辺地域との関わりを確認しつつ、堰を中心とした周辺環境の保全に努め国指定天然記念物であるアユモドキの生息環境の保護に積極的に関わっていく。
以 上

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