マムシ
 Agkistrodon hlomboffii
分 布
国内では、北海道、本州、四国、九州などに広く分布する。国外では、ヨーロッパ東部、中央アジア、シベリアなど世界各国に広く分布する。
分 類 トカゲ目 クサリヘビ科
形 態
体長400〜600 mm。
 体色は一般には褐色だが、非常に変異が多い。背面には黒く縁取られた黒褐色の斑紋が前後に少しずつずれた対になって並ぶ。腹部は黄白色で黒褐色の不規則な斑紋が密にある。頭部は長三角形で、よく分化した鱗(うろこ)に覆われ、鼻孔と眼の間にはピットと呼ばれる赤外線センサーがある。頸部は細く、頭部は頸部よりははるかに大きい。上顎骨には可動性の毒牙があり、普段はたたまれているが、攻撃時に口を開けると顎と直立に起立する。瞳孔は黒く縦に切れる楕円形である。体は比較的短く、尾も短い。
類似種
アオダイショウの幼蛇は、褐色地に黒褐色の斑紋があり、ニホンマムシと間違えられることがある。ニホンマムシは頭部に比べて頸部が極端に細くなることや、尾が極めて短いことなどから容易に区別することができる。
生息場所
平地から山地にかけての河原、竹林、水田の畦、畑など比較的低地性な場所に多く生息する。高山帯や乾燥地帯にもしばしば現れる。
生活サイクル
繁 殖
交尾・出産:多くは5〜6月に交尾する。卵胎性で、受精された精子は雌の生殖器管内で越冬する。遅延受精が行われていると考えられ、雌は翌年の8〜10月の深夜から明け方にかけて水辺の草むらなどで、2〜13匹の幼蛇(子ヘビ)を産む。
幼蛇:孵化直後の幼蛇の全長は約200 o。1年で300〜370 mm、2年で400〜 470 mm、3年後には450〜550 oに成長する。雌の方が大きいが、尾は雄の方が太く長い。
寿命:飼育上では12年生きた記録があるが、野生での寿命は不明である。
食 性
肉食性で、トカゲ類やカエル類、ネズミ類、魚類などの生き餌を好んで捕食する。屍肉を食べることは稀である。
日周活動には季節性や気候による地理的変化が見られ、春秋は昼間に活動し、夏は暑さを避けて夕方から深夜に活動する。特に蒸し暑い夜に多く出現する。
動作が遅いため、人が近づいても逃げず、誤って踏みつけて咬まれることが多い。
マムシの毒は主に出血毒で、咬まれると牙痕からの出血や局所周囲の皮下出血の他に、発熱、悪寒、吐き気などの全身症状が現れる。注入量が多ければ血圧降下によるショック症状や急性腎不全などの重傷に陥る場合もある。
マムシ酒は強い強精剤とされるが、真偽のほどは定かではない。
本ホームページ内に掲載の記事・写真などの無断転載・無断引用・販売等を一切禁じます
Copyright by 太田川河川事務所