ゲンジボタル
 Luciola cruciata
分 布
日本特産種で、本州・四国・九州に分布する。
分 類 コウチュウ目 ホタル科
形 態
成虫:体長15〜20 mm。体色は黒色、前胸背は淡赤色で黒い十字形の紋をもつ。
雄では第6〜7腹節、雌では第6腹節に淡黄色の発光器がある。
類似種
幼虫が水中生活をするホタルは、南西諸島産の種を除き、ゲンジボタルとヘイケボタルだけである。ゲンジボタルでは前胸背に十字形の紋があるのに対し、ヘイケボタルではそれが太い黒条となること、また、両者で体長が違うことで区別できる。
生息場所
昼間は樹木や草などに潜んでいるが、日没後にはゆっくりと飛び回りながら発光する。
生活サイクル
繁 殖
産卵場所:主として川岸の水面から約50 cm以内の斜面に生えている柔らかい苔の中に300〜700の卵を産み付ける。
卵:ほとんど球状に近い楕円形で淡黄色、直径は約0.5 mmである。
幼虫:産卵後、約1ヵ月で孵化する。孵化直後の幼虫は体長約1.5 mmで、約265日間の水中生活をおくる。その後水中で約6回の脱皮を繰り返した後、上陸し、やわらかい土の中に潜り込む。約40日後、土中の幼虫は最後の脱皮を行って蛹となる。そして約11日後、羽化して成虫となる。
食 性
幼虫時は肉食で貝類、主に淡水性巻貝のカワニナを好む。幼虫はカワニナを発見すると、鋭い大顎で体に噛み付き、後ずさりしながら石の隙間などの安全な場所へ運ぶ。口器から黄色の消化液を分泌してカワニナの肉を溶かし、その液化物を吸収する。成虫では、幼虫時に摂取した栄養が十分蓄えられているため、水以外はほとんど摂取しない。
ホタルは必ず発光すると思われがちだが、大部分の種類のホタルは発光器があっても発光しない。通常見ることのできるホタルで、最も明るい光を放つのがゲンジボタルである。
ゲンジボタルとカワニナの生息に適した水質は完全には一致しない。ゲンジボタルは、清水からわずかに汚れた程度の水にしか生息できない。一方、カワニナにとっては、清澄な水は栄養分が少なくエサとなる藻類の繁殖が悪いため好適ではなく、ある程度汚れて有機物を多く含んだ水のほうが生長・繁殖に適している。ただし、汚染が進むと溶存酸素が欠乏し、両種とも生息ができなくなる。
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