カワニナ
 Semisulcospira libertina
分 布
北海道南部以南の日本全土に分布する。
分 類 ニナ目 カワニナ科
形 態
最も普通に見られる淡水巻貝であり、殻高約3 cm、殻径約1.2 cmで、通常、成貝では上部の螺肋(らろく)が侵食されている。
類似種
本種は多くの地方変異型を持ち、同じ科に属する種としてクロダカワニナ、ヤマトカワニナおよびイボカワニナなどがいる。クロダカワニナは東海から中国地方にかけて分布するが、ヤマトカワニナとイボカワニナは琵琶湖固有種である。クロダカワニナは本種よりも細長く、螺肋が粗い。また、ヤマトカワニナとイボカワニナは体表にイボ状の結節を持ち、殻底肋(かくていろく)も2〜3本少ない。
生息場所
主に流れのある川底の礫表面に生息するが、淵の泥底上や用水路のコンクリート面などでも確認される。
生活サイクル
繁 殖
産卵時期:5〜10月頃
産卵期は春から秋で、卵胎生であるため、一度に約数十個体の仔貝が産出される。仔貝も成体と同様にゲンジボタル幼虫の格好の餌となる。
食 性
主に礫表面に付着する藻類や分解の進んだ落ち葉などの有機物を摂食するが、小動物の死骸などを食べることもある。
本種を含むカワニナ類はゲンジボタルの幼虫の餌となる。ゲンジボタル幼虫が成虫になるには幼虫1個体当たり100〜150個体のカワニナが必要であると考えられている。
カワニナ類は肺臓ジストマ(横川吸虫)のセルカリアと呼ばれる成長段階の中間宿主であり、食物連鎖でカワニナ類より高次に位置する生物(サワガニ、ザリガニ類など)を経由して家畜や人間に寄生する。
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