1999年(H11年)の水害
 1999年6月23日〜7月3日/梅雨前線豪雨による土砂災害
6月23日から7月3日にかけて、梅雨前線の活動が活発となり、西日本から北日本にかけて、断続的に大雨となった。特に28日から29日にかけて、中部地方、中国地方、九州地方北部などでは1時間に100mm近い激しい雨が降った。期間降水量は、九州地方から中部地方の山沿いで600mmを超えたほか、平野部でも呉(広島県呉市)で446.5mmを観測するなど400〜500mmとなったところがあった。このため、各地で土砂災害や浸水被害が発生し、広島県では土石流、がけ崩れなどにより31名が死亡した。
  (資料参照/『災害をもたらした気象事例(平成元年〜本年)> 梅雨前線、低気圧』他より
/気象庁ホ−ムペ−ジ他資料)
  広島県内で6月29日午前0時頃から降り始めた雨は、午前中は県北部を中心として局所的に強まり時間雨量20mm以上を記録したが、広島市を中心とした県南西部では、午前中は時間雨量10mm以下で推移した。午後になって前線の活動が活発になり、13時〜16時にかけて、広島市佐伯区から広島市安佐北区一帯で強い降雨を観測した。また、15時〜17時にかけて大柿町から東広島市の一帯では、呉市を中心として強い降雨を観測した。そして、降雨は、広島市方面で16時頃、呉市方面で17時頃、東広島市方面で18時頃になり順次止んだ。6月28日〜6月29日の連続雨量は大野IC199.5mm、戸山271mm、呉市184mmの大雨となった。特に、6月29日の時間雨量は、八幡川橋14時〜15時に81mmとなったのを始め、戸山で14時〜16時に63mm、呉市で15時50分〜16時50分に73mmと記録的な短時間降雨となった。被災箇所は、土石流等災害で139箇所、がけ崩れ災害で186箇所にもおよび、死者31名、行方不明者1名、家屋全壊154戸等、昭和63年県北西部豪雨災害を大きく上回る、近年にない大規模な土砂災害となった。特に、被害は都市近郊の新興住宅地に集中し、都市型の土砂災害と位置付けられる。
主な被害地域  広島県 人的被害(名) 死者   35
住宅等被害(棟) 家屋全壊  153 負傷者   55
家屋半壊  102 行方不明    1
一部損壊  305 環境等被害(箇所) 崖崩れ    −
床上浸水 1434 橋梁流出    −
床下浸水 3409 河川損壊    −
その他      その他    0
(資料参照/『平成11年6月23日から7月3日までの大雨による被害状況について(第47報)』より
/平成11年7月26日 消防庁)
  広島県の様子
広島市佐伯区五日市 屋代川の全景空撮(左)と土石流と流木の氾濫状況(右)
広島市安佐北区亀山 大毛寺川左支川の全景空撮(左)と上流から見た下流の土石流氾濫状況
呉市吉浦東町 がけ崩れによる被災状況
(写真/『過去の主な土砂災害』より/土砂災害ポ−タル広島県)