としがたすいがいはなぜおきる?



 都市がつくられると、それに(ともな)って道路が整備(せいび)され、その道路には側溝(そっこう)がつくられます。当然、住宅(じゅうたく)には雨どいがつくられ、できるだけ早く川に雨水を流そうとするようになります。そのため()る雨の量が昔と変わらなくても、()った雨が川に到達(とうたつ)する時間は飛躍的(ひやくてき)短縮(たんしゅく)されることになります。もともと地中にしみ()む雨の量はそんなに多くないので、どんなに自然が残っていても、短時間に大量の雨が()るとしみ()まないで流れてしまいます。逆に言えば、しみ()むような雨なら、洪水にはなりにくいのです。つまり、雨が地中にしみ()むかしみ()まないかが問題なのではなく、()った雨を、時間を短縮(たんしゅく)して流そうとするから洪水(こうずい)が起きるのです。これが都市型洪水の典型で、ヒ−トアイランド現象などによって起きる都市部の集中豪雨などによって、この現象が起きてしまいます。
 歴史に記録されてきた大洪水は、山間部に大雨が降り、地中にしみ込むべき雨が、しみこめなくなって(地中へしみこむ量がいっぱいとなって)あふれ出て発生したものが大半です。ですから、時間がかかって発生する洪水のため、広い範囲で被害が出ます。都市型水害の集中型とは大きな違いです。