川の風景の謎



 川のほとりにたって目にするなにげない風景。毎日親しんでいるはずの、これらの風景のなかにも、あらためて考えるといろいろな疑問(ぎもん)がうかんできます。
 例えば延々(えんえん)とつづく土手について、日本の平野を流れる川は、多くの場合土手(「堤防(ていぼう)」) で囲まれています。この長く大きな土手は、最初から川とともにあったのでしょうか?それとも、だれかがつくりあげたものなのでしょうか?
 それはもちろん、洪水(こうずい)から家や土地を守るために、人がつくったものです。しかし、いきなりこんな大きな土手をつくったわけではありません。(わたし)たちの祖先(そせん)は、洪水(こうずい)とのたたかいのくり返しのなかで、地形をたくみに利用しながら、少しずつ川の流れを変え、少しずつ土手を大きくしてきました。こうして現在(げんざい)、ちょっとしたことで洪水(こうずい)被害(ひがい)にあうようなことはなくなりました。緑(ゆたか)な川の流れにも、このように長い時間をかけて人の手が加えられてきています。そして、その時間のなかで、土手は人々が散策(さんさく)をしたり、サクラ並木(なみき)や花火大会を楽しんだりする場所として利用され、それぞれの地域(ちいき)密着(みっちゃく)した存在(そんざい)になってきているのです。