川の使われかた(昔と今)



 水道がなかったむかし、川は人にとって大切なものでした。飲料水として使ったのはもちろん、お米や野菜などの食材をあらったり、衣服の洗濯(せんたく)を場所や時間を決めて行ったりしていたようです。自動車や機械のない時代には、川の流れを輸送手段(ゆそうしゅだん)として利用し、山で伐採(ばっさい)した木材や重い荷物を運んでいました。また、川のパワーをじょうずに生かして水車を回し、灌漑(かんがい)穀物(こくもつ)を粉にするためにも利用していました。
 このように、昔の生活に、川はなくてはならないものだったのです。ですから、日照りで水がかれると、その度に、自分たちの田畑に水を引こうと、水を取りあう「水争い」が起こり、死傷者(ししょうしゃ)が出たほどでした。
 今では、蛇口(じゃぐち)をひねれば、簡単(かんたん)に水が手に入りますが、この水も、川の水をきれいにしたものですから、川が人々の生活を支えていることに変わりはありません。今日(こんにち)の川は、昔のように生活に直結(ちょっけつ)しているようには見えませんが、川の無い風景が日本中どこを探しても無いように、川の無い生活は考えられません。みなさんの生活に必要となる水の(みなもと)であることはもちろん、自然の移り変わりを見せ、水遊びや魚釣(さかなつ)り、のんびりした散策(さんさく)を楽しめる(いこ)いの場として今も、川は人々にとって大切な場所なのです。