太田川の船人たちのぞくげん



 江戸時代(えどじだい)から大正初期にかけて、太田川の船人たちは川に格別(かくべつ)の愛着をもっていました。川には「水神」がいると信じて(うたが)わなかったのです。また、船人たちの間で守られていた俗言(ぞくげん)があります。

禁止(きんし)されていた事柄(ことがら)
・船出の朝茶碗(あさちゃわん)(しる)をかけて食べると不吉(ふきつ)なことが起こる。
・夕方川にはいると、カッパが水中に引っ()()
・暗い夜に川端(かわばた)(ぼう)さんを見たらエンコー(カッパ)が化けて
 いるのだと思え
・親の命日に川魚を()りに出ると川に落ちて死ぬ

●前兆予知
・大水の(ゆめ)を見ると子が生まれる
・船に乗る前に、ぞうりが()げると縁起(えんぎ)が悪い
・船に乗る前に蜘蛛(くも)を見るとよいことがある
・ゴリ(川中にいる小さな魚)を生きたまま飲むと上手に泳ぐ
 ようになる
・船に()う人は、(すな)を固くにぎると()わない
・船に乗るとき豆腐(とうふ)を食べて来ると、安全である