苫田ダムは地域の安全な暮らしのために大きな役割を果たしています。
苫田ダムは地域の安全・安心な暮らしのために大きな役割を果たしています。
洪水を防ぐ「治水(洪水調節)」、貯めた水を暮らしに利用する「利水」、下流に流すときの落差(水圧)を利用した「発電」。
また、ダムの貯水池として生まれた奥津湖は地域の観光資源として多くの人々を魅了しています。
中豪雨や長雨が続くと、川の水は増水し、洪水が発生します。洪水は、人命に危険を及ぼすばかりでなく、家や田畑の浸水・流失、橋や道路の破損など、大きな被害をもたらします
吉井川でも、昭和20年、昭和38年、昭和47年、昭和54年、平成2年、平成10年の洪水によって大きな被害が起きています。苫田ダムでは洪水が発生した場合には、洪水の多くをいったん貯めて、後から少しずつ下流に流すことによって洪水被害を少なくするもので、150年に1回の確率で起こると考えられる大洪水を対象に計画しています。ダム地点毎秒2,700m3の約8割(2,150m3)をダムに貯めます。平成10年秋の洪水に当てはめると、1,230m3のうち約7割(861m3)をダムに貯めます。
★総貯水量は約8,410万m3
石油の輸送に使われるタンカー・VLCC(20万t以上の油を積める超大型タンカー)約420隻分の水を貯めることができます。
川はいろいろな用水としてだけでなく、様々な動植物を育ててきました。また、人々の憩いの空間として親しまれています。しかし、雨が降らない日が続いたり川の水が非常に少なくなると、水質も悪くなり動植物が育たなくなります。昭和42年、53年、57年、平成6年に起こった渇水では取水制限が行われ、深刻な水不足に見舞われました。なかでも平成6年は吉井川下流で約60日間にわたり上水道・工業・農業用水が30〜70%の取水制限を余儀なくされました。
そこで、いつも適度な水が流れ川の働きが十分生かせるよう、ダムが水を確保しています。
飲み水や、お風呂の水などの生活用水を供給します。岡山県内で1日に使用する水の量は、約80万m3で、1日に1人当たり約400リットル使用しています。これは、ドラム缶2本に相当します。苫田ダムでは、最大で40万m3(100万人分)の上水道用水を送ることができます。岡山県の人口が、約200万人ですから県民の約半分が使用できる水量に相当します。
工業用水は日量8,500m3を供給でき、吉井川下流の工場で使用されています。
苫田ダム下流の約243haの農地にかんがい用水を補給します。雨が何日も降らない日が続いた時、田畑の水が枯れないようにします。
上水、工水、農水、維持用水などを下流に流するときの落差(水圧)を利用して、最大4,600kwの発電を行ないます。水力発電は、火力発電のように二酸化炭素(CO2)などの大気汚染の原因となるものをほとんど発生させない環境にやさしいエネルギーです。
苫田発電所は岡山県企業局により平成17年4月に発電を開始し、最大の発電時には約6,400世帯へ送電されます。
吉井川では平成10年10月の台風10号は戦後最大の洪水をもたらし津山市を中心に死者2名、行方不明者1 名、床上浸水2,300戸、床下浸水1,100戸の被害が発生しました。この時苫田ダムができていれば浸水範囲は図のように小さくすることができたと予想されています。
苫田ダムが運用を開始して2ヶ月後の平成17年6月には岡山県内全域で渇水となりましたが、吉井川では苫田ダムに貯めていた水を流すことにより取水制限を行われませんでした。
岡山県漁業を支える主要漁のノリ養殖業。2006、2008年は県下全域で1月上旬から栄養塩の減少によるノリの「色落ち」が発生し、これまでにない危機的状況に瀕しているという認識にもとづき、岡山県知事から中国地方整備局長あてに苫田ダムからの緊急放流について要請がありました。この要請をうけて苫田ダムは苫田ダムの利水者、吉井川の利水者の理解が得られたことから緊急放流を行ないました。
※吉井川水系水利用協議会も合意したものです。