苫田ダム建設においては、ダムを水源地域の活性化の核と位置付け、ハード・ソフト両面の総合的な整備をめざして『グランドデザイン』を策定するため、平成4年(1992) に河川、植生、景観、色彩、建築ごとに専門の学識経験者からなる『苫田ダム環境デザイン委員会』を設立、トータルコンセプト確立、デザイン指針の作成、長期に亘って設計施工を見守れる環境・体制を作りました。
苫田ダムの全体景観的な特徴は「ダムの基本形状を尊重したズッシリとしたデザイン」、「縦・横のラインを活かした安定感のあるデザイン」。ダム本体は「ダムの有する構造的な美しさを引き出し、洗練されるような構造デザイン」と「時代に耐えるようなダムデザイン」をめざしました。道路や橋をはじめダム周辺の総合的な整備においては「湖が創る・ふるさと新風景」【地域の良さ(地域資産)と新しくできるダムとダム湖を生かし、水源地域の新しいふるさとづくり】に従って多方面の方々の意見を集約しながら総合的に進めました。
湖岸道路の景観デザインは以下の方針で検討しました。
以上のことから、道路計画の線形を見直し、切土法面2段以下を目指すことで、法面規模を大幅に縮小し、コンクリ−ト吹付け法面を極力抑え、構造物が見えにくい緑の多い湖岸を創出できました。
苫田ダムではダム建設に伴う様々な環境変化などを建設後もきちんと把握していくため平成16年からモニタリング調査を行なっています。
平成16年3月に「苫田ダムモニタリング委員会」を設置し、調査の実施方法および調査結果の分析・評価を客観的・科学的に行ない、ダムを適切に管理しています。
平成19年3月に開催した第3回苫田ダムモニタリング委員会では、
などと評価されました。
ダム上流側の奥津湖に湛めている水から、水温や水質を選んで下流へ流すために、どの深さからでも水を流すことができる、選択取水設備が設置されています。
潜水艦の潜望鏡のよう伸び縮みするシリンダーゲートで、のみ口を上下に移動させ、毎秒20m3の水を取り込むことができます。
苫田ダムでは、奥津湖の水の状況を監視しながら、この設備を使って、下流の環境に適した水を流しています。