1.大イチョウの概要
この大イチョウは鳥取市古市地内(古市神社跡地)にあり、樹齢は推定1,000年と も言われ鳥取市は、昭和53年11月に「保存樹木」として指定されています。
この木は地域の方の信仰木でもあり、シンボル的な樹木となっています。
当時の大イチョウは樹高約25m、目通り周5.5m、枝張り約25m、推定重量は100tを超えていましたが、現在は枝の枯れ込みによる切断で樹高は15m程度となり、推定重量は70t程度となっています。
2.大路川改修事業と大イチョウの関係
大路川改修事業については、流域の急激な都市化により大路川の治水対策が検討され、千代川との合流点付替えは国土交通省が実施、これより上流部は鳥取県において堤防拡幅や遊水池事業を進めています。
国土交通省では、付替えに必要となる用地取得を平成6年〜平成10年にかけて実施し、古市神社についても町内に敷地を求め移転をされました。
この時、境内に有った樹木も殆どが移植されましたが、この大イチョウについては大きさ・重量から移植する事が出来ず、この地に残されました。
当時、地域の方との調整の中で「出来るものなら残して欲しい」との要望も受け、この場所で成育させる為、堤防工事の進む中で埋没する幹部分の保護措置を行いました。
その後、堤防盛土などの為に呼吸困難を起こし、灌水により過湿状態等を起こしているとの判断より早速、盛土の撤去・排水対策・土中へ空気注入・栄養剤注入等を実施しました。
以後、継続して必要な対策を試みて来ましたが、地盤が締め固まっている事、堤防と道路に挟まれた窪地で排水環境が悪い等の問題から樹勢の回復が遅れ枯れ枝の切断を行いました。
先般、根接ぎを試みたところ樹勢の回復が見られ、現地の状況を考えると地盤改良し排水環境を整備した近くの場所に移植する事が可能との判断から、この度の移植となりました。
なお、今回の樹木の診断・移植については、鳥取大学名誉教授の田中一夫先生に御指導を戴いております。
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