広島湾再生行動計画(第一期)の評価
水環境の再生、生物生息環境の保全・再生
汚水処理対策、底質改善、干潟・藻場の保全・再生等の施策の実施により、北部海域における赤潮発生回数の減少、透明度の改善などの一定の効果が見られましたが、依然として一部の海域では夏季に貧酸素水塊が見られることから、海底付近の溶存酸素量(底層DO)を改善するための取り組みが必要です。
近年、海面漁獲量は一部の魚種を除き減少傾向にあります。このため、新たに瀬戸内海環境保全基本計画に盛り込まれた視点を踏まえつつ、豊かな海の実現に向けた施策を推進していくことが必要です。
出典:広島農林水産統計年報、山口農林水産統計年報、農林水産省中国四国農政局
注)浮魚:「まいわし」や「かたくちいわし」などのように、海面近くを回遊する魚種。底魚:「ひらめ・かれい類」や「あなご類」などのように、海の下層を主な生活の場とする魚種。底生生物:「なまこ類」や「えび・かに類」などのように、海底を生息場所とする魚種。
親水空間の創出や利活用の促進
新たな親水空間の整備や利活用の促進により、親水施設等の利用者や環境教育活動への参加者は大幅に増加しましたが、広島湾再生の取り組みに対する地域住民の関心は高いとは言えないことから、さらなる広報の充実や、地域住民による自主的な活動を促進していくための仕組みづくりや支援の検討が必要です。
自然景観、歴史・文化的資源の保全
住民参加による自然景観、歴史・文化的資源の保全に関する取り組みの推進により、ごみの無い美しい海岸が増えるなどの効果がありましたが、一部の海岸ではごみの漂流・漂着等により景観や環境が悪化していることから、海ごみ対策の強化が必要です。
自然景観、歴史・文化的資源については、引き続き保全するとともに、その魅力を活かした地域の活性化が必要です。