基調講演「閉鎖性水域・瀬戸内海における水環境の管理」
広島大学環境安全センター長・教授 西嶋 渉 氏
令和3年6月に公布された瀬戸内海環境保全特別措置法の一部改正を受け、瀬戸内海では地域における海域利用の実情を踏まえた順応的かつ機動的な栄養塩類の管理など、特定の海域ごと・季節ごとのきめ細やかな水質管理が求められています。
基調講演では、瀬戸内海における1980年代以降の栄養塩や基礎生産速度の変化の分析結果を踏まえ、栄養塩管理の方向性として、「環境悪化のフロー」を回避しつつ「生物生産のフロー」を高めるような、季節や場所に応じた栄養塩管理が求められている
ことが重要であるとのお話をいただきました。また、栄養塩管理だけで豊かな海の実現を目指すことは難しく、管理する海域の生態系等の理解を深め、生物の生息場の保全・回復を含めた広い視野で「きれいで豊かな海」を目指す取り組みを行うこと
が求められているとのご提言をいただきました。