高津川水系河川整備基本方針

1.河川の総合的な保全と利用に関する基本方針
(1)流域及び河川の概要

 中流域は、吉賀町柿木(かきのき)付近から益田市神田(かんだ)付近の平地部に至るまでの山間を流下しており、アユの好漁場となっている。支川津和野川流域には、山陰の小京都と呼ばれ多くの観光客が訪れる津和野の街並みが広がっている。

 下流域は、木材加工業や繊維産業等が営まれている島根県石西(せきせい)地域の中心都市である益田市を擁(よう)している。水はけの良い沿川で栽培されるアムスメロンは県内生産の6割を占める特産品である。また河口域には、高津川の河口を利用した天然の良港益田港が開け、石見空港(いわみくうこう)(愛称:萩・石見空港(はぎ・いわみくうこう))も平成5年に開港している。また、高津川流域には、西中国山地国定公園や、蟠竜湖県立自然公園(ばんりゅうこけんりつしぜんこうえん)が存在し豊かな自然環境に恵まれており、本水系の治水・利水・環境についての意義はきわめて大きい。

 流域の地質は、上流から下流にかけて比較的明瞭に分かれている。上流域では、主として、匹見層群(ひきみそうぐん)と呼ばれる中生代白亜紀流紋岩類から成っている。中流の山地の大部分を占めるのは、頁岩(けつがん)チャートから成る中〜古生代の堆積岩層で、鹿足層群(かのあしそうぐん)と呼ばれている。この中流域では、北東〜南西方向の断層が卓越している。下流部の横田盆地から益田平野にかけては、流域内で最も広い沖積層が形成されている。また本川の最上流部は、隣接する錦川水系による侵食によって河川争奪を受けたため源流域を失い、標高400m程度の平地が広がっている。

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