電線類地中化事業のねらい
 現在、一般家庭への電力や通信の供給の多くは、地上に設置された電線類(電柱、電線)により行われております。このため、特に電力、通信需要の多い都市中心部においては、電柱が林立し、電線が輻輳しており、都市景観や歩行空間を著しく阻害している状況にあります。

 また、先の阪神・淡路大震災の際には、道路上の電柱の倒壊やこれによる電線の切断等により、電力・通信サービスの供給がストップするとともに、緊急車両や物資輸送の交通に支障が生じる等の問題が発生しました。

 電線類地中化事業は、地上に設置されている電線類(電柱・電線)を道路の地下に収容することで、
 1)安全で快適な歩行空間の確保
 2)都市景観の向上
 3)都市防災機能の強化
 4)信頼性の高い情報基盤の確立
 等を実現するものです。

 様々な業務機能が集積し、さらに諸外国から多くの旅行者が訪れる国際平和都市として、ふさわしい風格のあるまちづくりを支援していくものです。

電線類地中化事業によって何が変わるのか

1)安全で快適な通行空間を確保します
 電柱や電線類がなくなると、道路の見通しが良くなり、信号機や道路標識が見やすくなるなど、交通の安全性が向上します。また、歩道が広く使えるため、歩行者はもちろんベビーカーや車いすを利用する人にも安全で利用しやすいバリアフリーの歩行空間が形成されます。

2)都市景観が向上します
 地上にはりめぐらされた電線類が、道路の下に収められるため、美しい街なみが形成されます。

3)都市災害を防止します
 台風や地震といった災害時に、電柱が倒れたり、電線類が垂れ下がるといった危険がなくなります。

4)情報通信ネットワークの信頼性を向上します
 今後ますます発達していく情報化社会に、情報通信ネットワークは広がる一方です。電線類を地中化することにより地震などの災害が起きたときの被害を軽減することができます。


電線類地中化事業の経緯と成果

 電線類地中化計画については、昭和61年度から3期にわたる「電線類地中化計画」と「新電線類地中化計画」に基づき、関係者の協力のもと積極的に進めてきました。

 これまでの取り組みにより、まちなかの幹線道路については一定の整備が図られたものの、その水準は欧米都市と比較すると依然として大きく立ち遅れており、引き続き推進していく必要があります。

 また、「新電線類地中化計画」策定以降、「交通バリアフリー法」の施行や「観光立国行動計画」の策定等がなされ、道路から電柱・電線を無くす無電柱化に対する要請は、歩行空間のバリアフリー化、歴史的な街並みの保全、避難路の確保等の都市防災対策、良好な住環境の形成等の観点からもより一層強く求められています。

 一方、電力・通信分野の自由化の進展等に伴い電線管理者の経営環境は厳しさを増し、また、国・地方公共団体における財政事情も悪化しており、一層のコスト縮減等円滑な推進のための課題への対応も必要です。

 こうした、時代の要請と課題に応え、無電柱化が美しい国づくり、活力ある地域の再生、質の高い生活空間の創造に大きく貢献することを目指し、新たに主要な非幹線道路の整備対象に加え、地中化以外の手法も活用して、平成16年度より新たな「無電柱化推進計画」を策定し、無電柱化を計画的に推進します。


○平成15年度末時点での市街化区域における幹線道路の無電柱化率

  広島県 9.5%(うち直轄 30.7%)
  うち広島市 21.8%(うち直轄 44.8%)

 ※無電柱箇所は、道路上空に電柱が存在しない区間
 ※幹線道路…一般国道、主要地方道、一般県道を示す。自動車専用道路は含まない。



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