コウノトリは学名を「キコニア ボイキアナ(Ciconia boyciana)」といい、翼を拡げると2mほどにもなる、体は白く風切羽が黒い大型の渡り鳥です。くちばしが黒く、目の回りと足が朱色で、成鳥の体重は約4〜5sほどになり、一般にオスの方がメスより大きくなります。成鳥になると鳴き声を出すことはありませんが、クチバシをカタカタとならすクラッタリングをします。餌は主に動物食で、ドジョウ、フナなどの魚類をはじめ、カエル、ミミズ、バッタなどの生きた小動物も捕食します。
日本では昔からよく見られた鳥で、見た目がツルによく似ているため、昔のはよくツルと間違えられていました。「松に鶴」の日本画は多くありますが、鶴が松に営巣することはなく、松の枝に巣作りするコウノトリをツルとして描いたもののようです。実際に鳥類学会で「コウノトリ」の学名が付けられたのは約130年前のことで、それまではツルと明確に区別が付けられていなかったようです。
コウノトリは、ヨ−ロッパとアシアに繁殖地をもちます。極東地域(主にアムール川流域)を主な繁殖地とするコウノトリは、その数は約2,000羽と推定され、絶滅が危惧されています。極東地域で繁殖したコウノトリは、中国揚子江周辺とポーヤン湖、さらに台湾、韓国、日本に渡り越冬することもあります。
ヨーロッパでは、コウノトリは幸せを運ぶ鳥と言われています。ドイツでは、コウノトリは春になると北アフリカから渡ってきて、秋になるとまたアフリカへと帰ります。渡ってきたコウノトリは、人家や教会の屋根に巣を作り、ヒナを育てます。コウノトリが巣を作った家は火災や雷に遭うことがないと言われ、またその家は豊かに長生きして暮らせるという言い伝えもあります。親鳥は愛情を持って、自分の羽毛がすり切れてしまうくらいヒナのために一生懸命エサを探し、丁寧にかいがいしくヒナの世話をします。その親鳥が年をとってくると、今度は子どもが親の世話をするのです。このため、コウノトリは親子の愛情のシンボルともされています。
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