記者発表
お知らせ(平成17年5月24日)

コウノトリの観察等に関するお願いと今後の対応について
 先月下旬頃から灰塚ダムのウェットランド(生きものの生息地としての湿地)整備予定地内で、コウノトリの姿が断続的に確認されています。
 コウノトリがすむようなウェットランドは、その整備目標でもあり、当工事事務所としましては、将来に向けて大変期待が高まったところです。
 つきましては、コウノトリが少しでも長い間当地に留まってくれるよう現地においてコウノトリを撮影・観察される皆様方には、下記の注意事項を守って頂きますようお願い申し上げます。
 今後、当工事事務所では、地元の皆様の協力を頂きながら、現地での観察を継続するとともに、専門の調査員による生態の追跡調査を定期的に実施します。撮影した写真や観察・調査情報などは、5月27日から当工事事務所のホームページで公表しますのでご覧ください。
コウノトリ情報はこちら
【注意事項】
 @ 現地に"立入禁止"を表示している場所には入らないでください。観察及び写真撮影などは、コウノトリから直線距離で100m以上離れた出来るだけ遠くの場所からお願いします。
 A 現地に食べ物の残りやゴミなどを残さないでください。
 B 昼夜とも大声や大きな音を出さないでください。

専門家のコメント
(五十音順 敬称略)
上野 吉雄(広島県立原養護学校教諭:鳥類)
・灰塚ダムモニタリング委員会委員
・灰塚ダム知和地区環境総合整備計画アドバイザー会議委員
 @ コウノトリの餌は、主としてカエルなどの小動物だが現在の知和地区(姿が確認されている場所)では餌が足りないと思われるので、採餌は別の場所である可能性が高い。
 A 現在、姿が確認されている場所は、休息場にしていると思われる。
 B コウノトリは、気まぐれな鳥で、しかも警戒心が強いため、人が近づくと居なくなる可能性が高い。鳥に接近しての写真撮影は厳禁である。
 C 餌が十分確保できる間は、現地に留まる可能性もあるので、現在の状況を出来るだけ保存し、どのような場所でどんな行動をとっているのか、何を食べているのかなどを詳しく追跡調査しておけば、ウェットランドの整備や利活用を考える上では大変役立つ。
桜井 善雄(信州大学名誉教授、応用生態学研究所:生態学)
・灰塚ダム知和地区環境総合整備計画アドバイザー会議特別顧問
 @ 灰塚ダムのウェットランドが、コウノトリの生息地に成り得るという期待が大変高まった。
 A このコウノトリは、別の場所から飛来したものであり、現在確認されている場所が唯一の生息場所であるというものではない。この場所は、彼らが生息場所を選択する際の選択肢の一つになったことを意味している。
 B 灰塚ダムのウェットランドは、現在整備途中であり、完成するまでにはダムの試験湛水をはじめ、残された整備内容を実施する必要がある。この過程で、コウノトリは一旦現在の場所を離れるかも知れないが、彼らの頭の中には、この生息地の情報が確実にインプットされているので、完成後のウェットランドに再飛来する可能性が大きい。
 C ウェットランドが整備されれば、餌となる小魚、カエル、昆虫、小動物などの生息環境である浅い水面、小川、湿地、草地などが広く出現するので、コウノトリの定着は現状よりもさらに期待できる。
中越 信和(広島大学総合科学部教授:景観生態学)
・灰塚ダムモニタリング委員会委員
・灰塚ダム知和地区環境総合整備計画アドバイザー会議座長
私たちが期待した展開となっている。これで灰塚ダムのウェットランド整備の方向性が正しいことが証明された。この度のコウノトリの飛来にあたり、以下の3点を絶対に守って頂きたい。
 @ コウノトリは大形の鳥なので、近くに人影を見ると逃げる。直線距離で100m以上離れて観察すること。
 A 音に敏感なので大きな音を出さないこと。大声もだめ。
 B 片側に絶対無人の空間を作ること。両側に人がいると恐怖から逃げ出す。
三次市教育委員会社会教育室
 @ 国の特別天然記念物(注)に指定されているコウノトリは、絶滅危惧種として世界的にも希少な鳥です。
 A 灰塚ダムのウェットランド整備予定地で確認されたコウノトリは、越冬のため飛来したコウノトリと推測され、大陸へ帰る途中に迷って立ち寄ったものと見られます。
 B コウノトリを驚かせないように遠くから見守っていただき、永く生息できるよう安全で安心な環境づくりに努めて下さい。
注) 天然記念物とは、学術上価値の高い動物・植物等でその保護及び保存を指定されているもので、特別天然記念物は天然記念物のうち世界的又国家的に価値が特に高いもので、文化財でいうと国宝にあたるものです。

■お問合せ
 国土交通省 中国地方整備局 江の川総合開発工事事務所
  副所長(技術)
やまだ けいいち
山田 啓一
  調査設計課長
しょうじ しゅんすけ
庄司 俊介
  設計係長
いんきょ ひでゆき
印居 英文
 TEL:(0824)72−3301(代表)
 URL:http//www.cgr.mlit.go.jp/gonokawa

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