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(※S47年7月洪水はシミュレーションによる計算値) |
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図−3 平成18年7月19日洪水と昭和47年7月洪水の灰塚ダム流入量の比較 |
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2. |
ダム下流河川の環境保全運用について |
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(1) |
環境用水放流設備を用いた環境保全運用の概要 |
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灰塚ダムの洪水調節は自然調節方式を採用しています。自然調節方式であるため管理がしやすいという利点を有している一方で、「ダム下流流量の平準化」や「洪水調節後の放流の長期化」という課題があります(図−4参照)。 |
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図−4 自然調節方式の課題と対策 |
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(2) |
『中小出水の再現放流』の試行について |
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平成18年6月22日、梅雨前線に伴う降雨により灰塚ダム流域平均雨量は80.7mmを記録しました。この降雨による最大流入量は100.5m3/sでした。 |
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灰塚ダムに設置された環境用水放流設備を用いて、最大流入量に相当する規模まで人工的に放流量を増加させて中小出水を再現する取り組みを初めて行いました。
図−5は、6月22日出水における灰塚ダムへの流入量と放流量の変化を表したものです。流入量が放流量とほぼ一致した6月23日9時30分より環境用水放流設備を開け、中小出水の再現放流を行いました。最大放流量98.85m3/sに到達したのは6月23日13時頃でした。 |
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最大流入量相当の放流を行っている様子 (撮影:6月23日13時40分頃) |
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図−5 中小出水再現放流における流入量および放流量の変化 |
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この中小出水再現放流によるダム下流域での効果としては、図−6に示す池田堰地点の濁度が6月23日15時頃上昇していることから、中小出水再現放流によりダム下流河道内において砂礫等の移動が発生したものと推測されます。一方、流入量のピーク到達から約17時間後に放流量のピークとなることから、中小出水再現放流の開始時期をもう少し早め、より自然流況に近い再現放流となるよう検討する必要があるという課題も見つかりました。 |
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図−6 中小出水の再現放流におけるダム下流の濁度状況 |
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3. |
平成18年7月19日洪水における灰塚ダム洪水調節効果について |
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梅雨前線に伴い、灰塚ダム流域では7月19日午前1時頃から激しい降雨となりました。 |
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灰塚ダム流域平均に降った最大時間雨量は19.9mm(19日午前2時)、降雨開始からの累加雨量は158.6mmを記録しました。 |
この降雨による灰塚ダム最大流入量は494.2m3/s(19日午前7時50分頃)、最高貯水位はE.L.236.6m(19日午後0時30分頃)となりました。[図−7] |
この洪水における灰塚ダム最大洪水調節量は約350m3/sでした。また、ダム下流河川における灰塚ダムの洪水調節による水位低下効果は、市場地点(上下川)において1.32m、南畑敷地点(馬洗川)において0.31mであったと考えられます。[図−8] |
さらに、南畑敷地点における警戒水位(はんらん注意水位)の超過時間を約1時間短縮することができました。 |
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