GoGi通信 第84号
広島湾域のプレジャーボート係留禁止区域
 広島湾域の河川や海上におけるプレジャーボートの不法係留をなくすため、広島県と国土交通省太田川河川事務所は十月一日、不法係留禁止区域を大幅に拡大しました。 これにより、広島市一帯の主要六河川の水域すべてと廿日市市東部から安芸郡坂町北部までの沿岸部ほぼ全域が係留禁止となりました。
 太田川河川事務所と広島県は一九九八年からこれまで、太田川放水路(祇園水門から河口までの全区間)や広島市内の主要水系(旧太田川、京橋川、猿猴川の河川区域や広島港沿岸部十六地区=廿日市貯木場、草津漁港、宇品内港、海田ふ頭など)を不法係留禁止区域に設定し、河川法や港湾法などに基づいて取り締まりを強化してきました。
 今回、プレジャーボートの係留施設「ボートパーク広島」(広島市中区南吉島)が十月一日に開業。 第一期分として、約五百艇の収容が可能になり、すでに設置されている他の係留保管施設分と合わせ、広島湾域全体で約千八百艇分が確保されることになりました。 それに伴い、規制区域を大幅に拡大しました。
 新たに規制区域となったのは、旧太田川が吉島橋から、京橋川が上柳橋から、猿猴川が仁保橋から、天満川と元安川が旧太田川分派点から、いずれも河口までの全区域。 港湾および漁港区域では、廿日市木材港西地区から安芸郡坂町の坂水尻地区までの沿岸部一帯と、禁止区域が大幅に拡大されました。 ただし、入江・船溜まりなど船舶が航行する上で支障のない区域などは今回は、除外されています。
 近年、海洋レジャーが盛んになるにつれ、プレジャーボートの保有者が急増。それに伴い、不法係留が大きな問題になりました。 広島県は一九九八年三月、全国初の「プレジャーボート条例」を制定し規制に乗り出したほか、不法係留対策の受け皿となるマリーナ整備も進めてきました。
 しかし、広島湾域では約二千六百艇の不法係留が確認されており(平成十九年八月十日現在)、さまざまな危険を抱えたままです。 洪水時は多くのプレジャーボートが流され、橋脚に引っかかったり、そのために橋にダメージが及んだりしています。 また、船の中に溜まった雨水などの影響で沈没し、油漏れ事故も起きているほか、高潮時には不法係留船が公園などに打ち揚げられたり、船舶をつなぎとめる杭によって堤防が破壊されたりしたという事例もあります。 無秩序な係留は、水上バスなどの航行にも支障をきたすため、環境保全や船舶の安全航行を確保するためにも対策の必要に迫られていました。
 太田川河川事務所は、広島県とともに不法係留しているプレジャーボートに対して保管施設への速やかな移動を呼びかけるとともに、放置船に対しては行政代執行などによる強制的な保管施設への移動・保管を行っています(移動費・保管費はプレジャーボート所有者の負担となります)。 10月1日から拡大

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