現在の千代川の水質は県が定める環境基準をおおむね満足しています。この清流を次世代に引き継ぐため千代川流域圏会議では「清流を守る行動計画」を昨年7月に策定しました。今回はこの中の「植物浄化の実験の試行」についてお知らせします。
河川水を直接浄化する手法の一つに礫間接触酸化法があります。これは礫(小さい石)や浄化用プラスチック等の材料を水中に置いて、その表面に付着する生物膜の働きにより水質を浄化するものです。この手法は維持管理が容易で一定レベルの浄化効果が得られる反面、湖沼で問題となるN(窒素)・P(リン)等の富栄養化物質の除去が不十分な状況にあります。
この他の手法として水生植物を利用する方法があります。N・Pなどを除去する能力を持つ水生植物を利用する水質浄化は豊かな生態系を創造でき、環境負荷の少ない浄化技術として注目されており、実際の施設も建設されています。
 |
 |
土浦ビオパーク |
クレソン収穫の様子 |
植物を利用した湖沼での水質浄化の成功事例として「土浦ビオパーク」があります。
霞ヶ浦に設置されているこの施設では水質浄化のためクレソン、ミント、セリなどの水耕野菜を植えています。クレソンなどは(1)植物プランクトンが貯まりやすい溜まりやすいように根が細かく、株が横に広がる、(2)生長が早く栄養分としてN・Pをよく吸収する、などの性質を持っており水質浄化ができます。なお、この水耕栽培された野菜は住民が摘み取りを行っても良いことになっており、また運営は住民の一部が組織化し維持管理を行っております。
 |
殿ダム植生浄化実験
(鳥取大学による植え付け作業) |
この他にも様々な水質浄化の取り組みが各所で行われています。それを参考に、千代川流域圏会議でも清流を守るため取り組みを行います。
前号で紹介したように、すでに植生浄化実験に着手している例に鳥取大学(農学部、工学部)の協力を得て国土交通省殿ダム工事事務所で実施されているものがあります。当会議ではこの取り組みの見学会を開催する予定です。
また現在調整中ですが、流域内のモデルケースとして智頭町内において植物を利用して、集落排水をさらにきれいにして川へ放流するための実験を計画中です。これらについては詳細が決まりましたら、改めて紹介いたします。
|