高津川水系河川整備基本方針

1.河川の総合的な保全と利用に関する基本方針
(1)流域及び河川の概要

 流域の気候は、日本海側気候地域に属するが夏に雨の多い北九州型で、下流部は対馬海流の影響を受けて冬でも比較的暖かい。流域の平均年降水量は、上流域で約2,200mm程度に達するが、下流域では約1,600mmである。

 緩やかな中山間地を流れ谷底盆地を形成する本川上流部は、河川争奪を受けて最上流部を失っているため、河床勾配は1/150程度と上流域としては比較的緩やかな箇所もあり、河原にはツルヨシ群落等が繁茂している。その流水は瀬と淵を形成し、緩やかな流れにはオヤニラミが生息するなど、さまざまな魚類の生息環境を提供している。

 支川流域に存在する中国山地の冠山(かんむりやま)恐羅漢山(おそらかんざん)安蔵寺山(あぞうじやま)等の山頂付近には、ブナ等の広葉樹の自然植生が残り、裏匹見峡奥匹見峡には、良好な渓谷林が存在し、大龍頭(だいりゅうず)小龍頭等多くの滝を目にすることができる。渓流には、ゴギのほかイシドジョウも生息しており、豊かな林相を背景としてブチサンショウウオ等が生息している。

 中流域は、河床勾配が1/150〜1/350と上流部よりやや緩やかとなっている。ところどころに岩が露頭し大きな淵や瀬が形成され、変化に富んだ河床を有している。自然度の高い河道が保たれていることから、天然のアユ等は、吉賀町柿木付近にまで遡上している。

3ページ/17ページ

   前へ | メニュー | 次へ