■整備背景
近年、環境とひとにやさしい交通機関として全国的にも路面電車が再評価されつつありますが、広島市のデルタ内の代表的な公共交通機関である路面電車は、潜在的に有する交通機能を十分に発揮する上で、施設・車両や走行環境の整備に課題を有しています。
このため、現在の路面電車の機能を強化し、一層ひとや環境にやさしい公共交通システム「LRT」に発展させることを目指して、平成17年3月に「広島都市圏LRT整備計画」(※)を策定しました。原爆ドーム前電停は、同計画の中に位置づけられ、バリアフリー化の整備を行います。
広島国道事務所においては、平成15年3月に国道54号にかかる交通結節点改善事業として横川駅電停を整備した他、これまで十日市、紙屋町東・西電停等のバリアフリー化を進めてまいりました。このたびの原爆ドーム前電停については、バリアフリー機能だけではなく、デザイン・景観との調和にも配慮し、世界遺産である原爆ドームへの玄関口として国内外から多くの人が訪れるにふさわしい施設として整備を行います。
※ 広電、広国、県、廿日市市、広島市で構成する協議会で計画を策定
■整備内容
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現 況 |
延長 |
42m |
通路幅 |
1.2m |
電停高 |
25cm |
スロープ長 |
12.5% |
点字ブロック |
無 |
パイプベンチ |
無 |
整備後 |
現 況 |
同左 |
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1.7m |
広幅員に変更 |
30cm |
低床電車の床面高と整合 |
5% |
緩勾配に変更 |
有 |
視覚障害者にも配慮 |
有 |
電車待ちの時間に配慮 |
〔参考〕乗降客数:約2,600人/日
■デザインコンセプト
平和記念公園周辺の施設は、これまで『丹下の軸』(※)を意識したデザインや配置としてきており、これに近接する原爆ドーム前電停についても、『丹下の軸』を意識しながら周辺の美観に配慮したデザインとします。
具体的には、丹下の軸を視覚的に遮ることのないよう、また停まっている電車の車窓から背景がよく見えるよう透明性の高いデザイン、また、周辺に圧迫感を与えずむしろ周辺に溶け込むようシンプルなデザインを基本コンセプトとしました。
色彩は、周辺との調和を考慮し、相生通りの公共の色彩であるグレー系で統一します。
設計にあたっては、広島大学大学院 千代章一郎先生にご指導いただきました。
※平和記念公園設計コンペで第一等に入選した丹下健三氏が昭和25年に広島平和都市建設構想案を提案。構想案の空間デザインは、原爆ドームを通る軸線を中心とした空間構成となっており、現在の公園施設の基本的な配置はこの構想案が踏襲されている。また、公園周辺においても、市営基町住宅、ハノーバ庭園、広島県立総合体育館等々が、『丹下の軸』を考慮したものとなっている。
着工時期 |
: |
平成18年5月15日(月) |
完成時期 |
: |
平成18年8月初旬(目標) |
事業者 |
: |
国土交通省 広島国道事務所 |
工事委託先 |
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広島電鉄株式会社(軌道近接施工のため委託) |
施工業者 |
: |
広電建設株式会社 |
試工による規制 |
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昼間施工については、電停側の路肩規制により施工します。 |
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夜間施工については、1/3車線規制(電停側の車線を規制)を行う場合があります。車線規制を行わない場合は、電停側の路肩規制により施工します。 |
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広島電鉄電車を利用される方は、工事施工中もご利用できます。 |
工事中ご迷惑をおかけしますが、ご協力宜しくお願いします。
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