調査結果から

森の景観

森によっては、高さ25ｍにも達する常緑樹林です。太い木が目立つ林で、中には直径80cmに達する大木が生えている森もあります。このような大木が、すき間なく枝葉を茂らせるため、外から見ると、樹冠（じゅかん）がモコモコとわき上がっているように見えます。
常緑の分厚い葉でおおわれているため、林内は暗いのですが、低木の植被率は低く、意外に見通しのきく林です。

特徴づける樹木

ツブラジイ 、アラカシ 、シリブカガシ など、ドングリ のなる常緑樹が林冠（りんかん）をおおうことで特徴づけられます。
これらのドングリの木の多くは、コナラ林やアカマツ林などの二次林にも現れます。しかし、ツブラジイ ，ツクバネガシ ，シラカシ は、鎮守の森以外で見かけることはあまりありません。
このほか、鎮守の森にしか現れない常緑樹も多く、モチノキ、クロバイ 、クロガネモチ 、イズセンリョウ 、イヌガシ 、モッコク などがあります。これらの常緑樹の種類が多く見られる林ほど、自然性が高いと言えます。
「斜面の二次林」やアカマツ林、コナラ林などの二次林に多いコバノミツバツツジ 、ネジキ などの落葉樹は、鎮守の森の中で見かけることはありません。

種の類数

出現する種のほとんどが常緑樹で占められています。
落葉樹は4種と、ほかの森林よりもかなり少なくなっています。

海抜と種組成の関係

鎮守の森に生える大木の種類は、ふもとか山の上かで違っています。今度、訪れるときには、樹木の種類に着目してみてください。
＜シイ林＞
平野部から海抜400ｍ付近で見ることができます。ツブラジイ やシリブカガシ の大木が見られます。
＜カシ林＞
海抜400ｍ以上で見ることができます。アカガシ 、ツクバネガシ のほか、モミ の大木が見られます。

この森林の将来

気候的に見ても、安定した森林として、このままの状態で維持されると考えられます。
ただし、鎮守の森の多くは面積が小さいため、森の一部が伐採されるなどすると、鎮守の森でしか見られない出現頻度の低い樹木が消滅し、種の多様性が低下する可能性があります。

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