意見交換

発言概要


中京大学総合政策学部長
奥野信宏教授

 私は、地域づくりをするのには、地域の現状やニーズを知る、地域のデータをもとに何をすればよいのかを考えることが大事だと思っています。しかし、今日は皆様の発表をお聞きし、データだけではわからないことがいろいろあると思いました。特に、地域のニーズは、きめ細やかな人付き合いでないとわかりません。これは、「新しい公共」だからこそできることですので、大事にしていただきたいと思います。

 活動団体の皆様は、補助事業だけでなく、都会との連携、米の販売等、収入につながる事業の面でも努力されていることがわかりました。地域の持つメリットをどうやって提供していくか、あるいはいかにして市場へと訴えるかを追求することで、コミュニティビジネスにも発展し、自立の資金源にもなりうるのではないでしょうか。


千葉大学大学院工学研究科
村木美貴准教授

モデル事業で積み重ねた実績を活かして

 皆さんの活動報告を聞いて勉強し、また皆さんとのネットワークを是非築きたいと思い、参加しました。

 私たちも、「新たな公」モデル事業をH20,H21と2年間行いましたが、その2年間で築いた地域とのつながり、また学んだことや気付いたこと、積み重ねたことを活かし、今後も頑張っていきたいと思います。


千葉大学大学院工学研究科
村木美貴准教授

活動にあたっては、できることをできるかぎり

 私たちは、地域コーディネーターとして、主にはホームページを作って地域の情報発信を行ったり、それをきっかけに地域に出かけていき、支援したりしています。

 活動にあたっては、あまり線引きはせず、できることをできるかぎり、かけずり回ってやっていこうと思っています。


庄原市自治振興区連合協議会
後藤ひろ子氏

活動の継続には外貨獲得が重要

 私たちは、H20に「新たな公」モデル事業で過疎地有償輸送に関してアンケート調査を実施し、H21.4からはNPO法人を立ち上げ、実際に過疎地有償運送の事業をスタートしました。H22は、乗車率が前年152%増に達し、H20のアンケート調査時には「過疎地有償運送がどういうものかわからない、乗らない」と言っていた人も利用してくれるようになり、順調に伸びています。

 しかし、過疎地有償運送だけではNPO法人も赤字になってしまうので、中間支援機能として墓守、掃除、雪下ろしをしながら何とかやりくりしています。また、高齢者が多い地域なので、生協さんと連携しているNPO法人の中に、「ココステーション」という買い物支援機能を設置しています。今日、高知県自治研究センターさんがお話されたように、月2万円でも収入が増えることは大きいことです。私たちの地域でも、全体で年間500万円くらいのいわば外貨を獲得していますが、外貨を獲得していくことが、活動の継続につながると考えています。


日南町自治協議会
榎尾公宏氏

地域と大学の連携のあり方について

 大学との連携は、マンパワー的にも助かるし、若者が地域に入ることで地域を元気にするという点でも有効だと思います。

 しかし、学生は1,2年で卒業していってしまうので、大学側に活動実績が蓄積されない面もあるため、大学と地域が、いかにすればお互いの「知」を高めていくことができるかを知りたいと思います。


(社)高知県自治研究センター
畦地和也氏


千葉大学大学院工学研究科
村木美貴准教授

 畦地さんがおっしゃった「大学と地域がお互いの『知』を高める」ことについては、地域の側から見て第三者である大学をうまく使う等、したたかな観点で、しっかりした計画を持つことが必要と考えます。

 あわせて、地域として何をしてほしいのか大学側に明確に伝えること、また、継続してお互いの知を高めていくためには、先生をキーパーソンととらえ、地域とのつきあいを確立していくことが重要だと考えます。

 現状では、大学は地域づくりのバックアップに消極的で、また相談に対しても敷居が高い面があります。

 今後、ワンストップサービス窓口を設け、パートナーとなる研究室を紹介するシステムを構築する等、地方の大学が地域づくりを支援していくことは、大学のあり方としても必要でしょう。

 大学の先生の中には、地域づくりに興味を持ち、熱心な研究をしている方も多いですから、大学に対して積極的に働きかけていただきたいと思います。


中京大学総合政策学部長
奥野信宏教授

 私たちは「松平村塾×松平ラボ」として、島根大学作野先生といっしょになって取り組んでいます。

 「いっしょにやっていただく」ではなく「いっしょにやっている」です。
いい先生に恵まれ、お互いによい意味でうまく使うことにより、地域が一変し、お互いにギブアンドテイクの関係になっています。


松平村塾
松原利直氏


特定非営利活動法人ラーバンマネジメント
中野敦教氏

 私たちも大学の先生とつながりを持っていますが、当方とは関係ないものであっても、先生の活動を見ているだけでも勉強になります。

 また、先生が連れてくる大学院生の方を通じても、他の地域のことがよくわかりますし、情報も行政より早く入ってくることがありますから、先生とのパイプは重要と思います。

 過疎高齢化地域では外部からの応援が必須であり、大学と地域の連携はたいへんいいことです。ただし、連携にあたってはギブアンドテイクの気持ちが必要です。

 大学の側から地域に対し、研究や卒論のためのデータを一方的に求めるような姿勢では、地域も面倒がってしまい、長続きしません。若い力を地域に傾注していただくことで、地域の側も真剣に協力できると思います。


貴和の里につどう会
岡本 雅氏

 私たちも大学と連携していますが、地域が指している全体のビジョンを大学側に示し、力を貸していただきたい部分を示すことが大事と思います。

 そうすることで、地域貢献に熱心な先生が手を挙げてくれると思います。


やまなみ大学地域支援自立センター
山本正克氏

 市町村合併により行政機能が低下する中、旧国土庁系の国交省ソフト事業は、地域が直接取り組むことができ、事業効果が非常に高いものでした。

 今後、NPOや任意団体が直接助成を受けられ、地域ががんばる起爆剤となるような事業を是非望みます。


鉄の歴史村交流推進会議
藤原 洋氏

問い合わせ

国土交通省中国地方整備局 建政部 計画・建設産業課
TEL:082ー221ー9231