■大路川流域の概要 |
一級河川大路川は、千代川6K560付近に合流する右支川で、流域面積約A=31km2、流路延長L=9.9kmの河川です。
流域は、北部の低平地と南部の山地地帯に大きく二分され、北部は大路川・千代川の計画水位より地盤の低い内水地域であり、元来水田として発展していましたが、鳥取市の中心部に近いことから開発が顕著な地域です。
また、南部は津ノ井ニュータウンの開発や鳥取環境大学の開学など、近年鳥取市の中でも重要な地域として発展しています。 |
■浸水実績図 |

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■概要と経緯 |
大路川の改修は昭和10年から開始され、昭和50年代までに千代川合流点より約4kmの区間の整備が行われていました。
しかし、流域における急激な都市化の進展は昭和51・54年とたて続きに浸水被害をもたらしました。
このため治水施設の整備を集中的に実施すると共に、流域が本来有している保水、遊水機能の維持、増進を図る総合的な治水計画を学識経験者・関係行政機関からなる「大路川流域治水研究会」で検討し、上下流での適正な治水(改修)分担による改修計画の答申が出されました。
この答申に基づき、上中流部の堤防拡幅と遊水池事業を鳥取県、下流部の合流点付替事業を国が進めることとなり昭和63年度から用地買収、平成8年度から埋蔵文化財調査、そして平成10年度から工事に着手し、平成14年6月完成に至りました。 |
■事業効果 |
大路川合流点を約430m下流に付替え |
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千代川からの影響が減少し大路川の水位が約50cm下がる |
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大路川のスムーズな流れの確保
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また、堤防を整備したことで、越流や破堤に対する安全度が向上! |
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■環境に配慮した施工 |

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■大路川合流点付替事業完成までの出来事 |
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[A地点] 工事区域内の魚「救出」(平成13年度) |

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[B地点] 埋蔵文化財調査(平成8年度) |
古市遺跡は、千代川及びその支流の堆積作用によって形成された沖積平野の自然堤防上に位置する。今回の発掘調査では、遺跡の西限約6,100m2を調査し、縄文時代から近世・近代まで断続的に続く遺溝・遺物を確認した。
当遺跡の大きな特徴として、奈良・平安時代の掘立柱建物群が挙げられる。 |
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[C地点] 樹齢1000年、地域のシンボル>「大イチョウ」の引っ越し(平成13年度) |
この大イチョウは鳥取市古市地内(古市神社跡地)にあり、樹齢は推定1,000年とも言われ、樹高約25m、目通り周5.5m、枝張り約25m、推定重量は100tを超えていました。
古市神社については、付替工事に伴い町内に移転されました。
この時、この大イチョウについては大きさ・重量から移植することができず、この地に残したまま手当を施していましたが、地盤が締め固まっている事、堤防と道路に挟まれた窪地で排水環境が悪い等の問題から樹勢の回復が遅れ枯れ枝の切断を行いました。
その後、根接ぎを試み樹勢の回復が見られ、地盤改良し排水環境を整備した近くの場所に移植しました。
現在は、枝の枯れ込みによる切断で樹高は15m程度となり、推定重量は70t程度となっています。
イチョウの木が推定70tにも及ぶことから400tクレーンにより移設作業実施。
移設の際、イチョウの木に負担がかからないよう細心の注意をはかりました。 |
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