千代川流域圏会議通信

千代川流域圏会議通信
[2002年5月号 vol.49]

「智頭町植生浄化実験」初年度無事終了!
  昨年6月24日、智頭町芦津地区の休耕田で、智頭町親水公園連絡協議会や一般住民など約50名が出席して、キショウブ・ショウブ・カキツバタ・ガマ・ハス・スイレンの苗植えを行い、植生浄化実験(実質的な植付け面積は約300m2です)を始めました。およそ5ヶ月間で分かったことを、簡単にご報告します。
 集落排水処理施設からの放流水は、まだかなりの栄養塩(窒素やリンなど)を含んでいます。測定(5回の平均値)によると、全窒素で14.6mg/L、全リンで3.35mg/Lとなっていました。mg/Lという単位はあまり見かけないかもしれませんが、1リットルの水に溶け込んでいる物質の重さ(mgはグラムの千分の1)を表しています。「なんだ、そんなちょっとか」と思ってはいけません!国土交通省のデータによると、千代川の行徳地点における平均的な全窒素は0.8mg/L、全リンで0.04mg/Lとなっています。いかにこの放流水の濃度が高いかが分かっていただけるかと思います。ただ、一般的に言って、集落排水処理施設は、流入時に、水質汚濁を示す基準であるBOD(生物化学的酸素要求量)が200mg/L程度あったものが放流時には20mg/L以下になっており、有機物の多くは取り除かれています。
 それでは、今回の実験によって、休耕田の出口における水質はどうなったのでしょうか?出口における全窒素は15.8mg/L、全リンは3.05mg/Lでした。施設からの放流時と比べ、全リンは8%程度減少していますが、全窒素は逆に10%増えていました。休耕田はその名の通り、もともと田んぼとして使われていました。そのため、土壌に多くの栄養分が含まれており、それらが溶け出していることが原因として考えられます。その証拠に、実験期間中の植物は、かなりの窒素・リンを吸収して立派に成長していました。
 また、実際実験を行うことにより、次のような問題点も明らかとなりました。「夏季には、休耕田に流入する時点で約25℃の水温が、流出時には40℃近くまで上昇する。また、植物の中には、いろんな虫の被害にあうものがある」などです。このようなことを踏まえ、「環境にやさしく・手がかからない・お金もかからない」ということを基本モットーとして、今年度は新たな秘策を施すとともに、生育したガマを用いた工芸品製作による村おこし運動などと連携し、多面的に発展させたプロジェクトへと進める予定です。
 
鳥取大学工学部助手 矢島 啓

植生浄化実験に参加してみませんか?
今月5月26日(日)に智頭町の植生浄化実験場において浄化植物の苗植え会を行います。千代川流域圏会議では苗植えに参加してくださる千代川下流域の小学生を募集しています。当日は矢島先生による水の浄化についてのお話や山本晴恵先生による実験池に生息する水生昆虫等の観察会も行う予定です。
募集人数等:小学生及び保護者の方20名程度まで、当日は鳥取市内よりバスにて現地送迎します。
申込み及び問い合わせ先:千代川流域圏会議事務局(鳥取工事事務所河川管理課内)担当 山形

平成14年度鳥取県水防訓練  ―鳥取県河川砂防課―
 出水期に備え、水防機関の志気の高揚と技術向上を図るため、千代川河川敷で水防訓練を実施します。県民のみなさまにも水防の重要性の認識を深めていただくため、住民参加型の訓練を計画しておりますので、多数の参加と見学をおまちしております。
とき: 平成14年6月1日(土) 9:00〜12:00
ところ: 鳥取市古市地先 千代川右岸河川敷(鳥取市民スポーツ広場)
主催: 鳥取県
訓練内容: 情報伝達訓練、水防工法訓練、人命救助訓練、避難誘導訓練、物資輸送訓練 等
展示等: 水防に関するパネル、災害対策車輌等の展示、降雨体験など
おしらせ: 当日午後0時から5時の間は、県道秋里吉方線千代橋〜八千代橋の間が通行禁止となり通り抜けができませんのでご協力下さい。
ヘリコプター等の訓練実施のため、周辺にお住まいの方には飛行音等ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いします。
お問い合せ先: 鳥取県県土整備部河川砂防課 TEL:0857-26-7374
 
水防月間  ―5月1日〜5月31日―
 水害から身を守っていくためには、一人ひとりが水害に対して関心を持ち、いざという時に備えて、日頃から準備していることが大切です。私たちに出来ることから始めましょう。
避難場所、避難経路を確認しましょう。
住民のみなさんが災害時において速やかに避難出来るよう、浸水想定区域や避難場所などを分かりやすく示した「洪水ハザードマップ」の整備などが全国の市町村で進められています。避難時には老人や女性、子供を優先的に避難させてください。また、家族が離れている時の集合場所や安全の確認できる方法も決めておきましょう。

日頃から天気予報や注意報に関心を持ちましょう。
台風時や集中豪雨時はもちろん、日頃からTVやラジオなどで天気予報を確認して気象の変化に関心を持ちましょう。
国土交通省でもインターネット・iモードで洪水の情報を提供しています。
インターネット版 http://www.river.go.jp/

緊急時の携行品をひとつにまとめて準備しておきましょう。
緊急時に備えて、貴重品、洋服や下着、非常用食料などをまとめて用意しておきましょう。停電に備えて、懐中電灯やラジオの準備も大切です。荷物は避難のじゃまにならず、持ち出しやすいよう必要最低限にまとめましょう。

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