千代川流域圏会議通信

千代川ニュース
千代川流域圏会議通信
[2002年7月号 vol.51]

智頭町芦津植生浄化実験場にて苗植え会を実施
芦津植生浄化実験場 千代川newsVol.49でご案内させていただきました、智頭町芦津に開設した芦津植生浄化実験場にて5月26日(日)に苗植え会を実施しました。
 この実験場は、千代川を守るため集落廃水処理施設の流末より出る水を、地域運営による植生浄化をおこなうことにより、さらにきれいな水として河川に放流し地域住民による継続運営可能な水質浄化手法のモデルプランをめざした植生浄化実験の第一段階として、平成13年6月に芦津にて休耕田を利用した実験場をつくり植生浄化実験をおこなっているものです。
芦津植生浄化実験場 平成13年度実験結果より、本年度は実験場面積を約2倍に拡張し実施することとしました。当日は智頭町親水公園連絡協 議会、智頭町ちびっこ河川パトロール隊、地域住民の方々、下流域より募集した小学生など関係者約80名の参加により実施しました。今回は、浄化実験場の拡張、苗植え及び補植を実施するとともに、環境学習として鳥取大学工学部助手矢島啓先生による植生浄化実験解説、流域圏会議委員山本晴恵先生による実験場に棲む水生生物の観察会を実施しました。
芦津植生浄化実験場
イトトンボ

〜芦津植生浄化実験場の様子〜
 H13年度の浄化実験の結果により、窒素、リンの吸着を良くするため流域内で生産された竹炭を濾過材として使用しました。また、浄化効果を上げるため面積を倍に増やしヒメガマ等の植裁をおこなっています。なお、ガマについては地元の「ガマ工芸保存会」とタイアップし実験場の維持管理に関し協力をしていただく予定です。
芦津植生浄化実験場 実験場は写真のようにトンボやカエルなどの絶好の生息環境となっており、実験池の中はイモリやカエル等の両生類、トンボのヤゴ、ミジンコなど水生生物などが多数見られました。前年は植裁後、害虫による被害に見舞われましたが捕食生物の繁殖により害虫被害の低減も期待されます。
実験池とビオトープ
トンボ 今回の植生浄化実験場の苗植え会で水生生物観察会を実施しました。昨年実験場をつくった時には植物による浄化中心で考えていたのですが、実験池は良好なビオトープとしても機能しているようです。良好な水辺環境が出来たことで、植物はもとより
昆虫、両生類など生物の良好な生息環境が出来上がっていました。水生植物の葉の上にはアマガエル、池アマガエルの周りを飛び回るトンボ、水中をのぞき込むとオタマジャクシに混じって煙のように漂うものが・・・。目をこらして見ると大量のミジンコでした。池の底や水草の中にはヤゴなどの水生昆虫やイモリなどの両生類と多種多様な生物が生息していました。
●ビオトープって何?
 「ビオトープ(Biotop/ドイツ語」という言葉。それは「もともとその地域にいる野生の生き物たち(bio/ギリシャ語)がくらす場所(top/ギリシャ語)」を意味します。
 ビオトープには、実にさまざまなタイプがあります。トンボやカエルは池や沼にすんでいますし、メダカやドジョウは小川にすんでいます。雑木林にはカブトムシなどの昆虫やそれらの昆虫を食べる小鳥たち、さらに小鳥を食べる大型の鳥類やキツネなどがすんでいます。
 つまり、ビオトープという言葉は何か特別なものを指し示しているのではなく、私たちの身近にある森林や草地河川や河原、池や沼、海や干潟など、野生の生きものたちがくらす、ある程度まとまった空間だと考えれば良いでしょう。
●共存の出来る環境づくり
 20世紀には、そのビオトープが世界中のどこの国でも壊され、生き物たちの生活環境を奪うことによって、人間にとって都合の良い環境づくりが行われてきました。もちろんわが国も例外ではなく、そのことにより例えば身近な野生生物の代表であったメダカまでもレッドリストに掲載されるなど、深刻な事態になっています。
 それについていち早く反省した欧米の環境先進国では自然との共存が地域づくりの最優先課題に位置づけられビオトープ事業 が展開されるようになりました。そして我が国でもこの世界的な潮流を受け自然と人類との共存を目的とした取り組みが重視されるようになり、各地で行政による環境再生のための事業や、小学校において子供と教師、保護者、地域住民により知恵と力を 出し合い学校ビオトープをつくりあげるなど各種の取り組みがはじまっています。
 ビオトープとしても機能し始めた実験場は今後どのように変化していくのでしょうか?紙面を通じて定期的に実験場の様子をご紹介していきたいと思います。
□□□□□□第24回 河原町あゆ祭□□□□□□
日時: 7月27日(土) 13時〜21時
場所: 河原町千代川袋河原広場
催し物: ・名物川下りレース(出場者募集中)
・陸上あゆつり大会
・あゆつかみどり(小学4 年生以上・大人対象)
・歌謡ショー石原詢子を迎えて
・花火大会 など
問合せ先: 河原町観光協会(役場産業課内)
TEL:0858-76-3117 FAX:0858-85-0672

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