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中国地方の活動報告4

団体名:特定非営利活動法人やまなみ大学地域自立支援センター
事業名:新住民支援ネットワーク事業
活動地域:広島県三次市、庄原市、安芸高田市、廿日市市、北広島町、安芸太田町、神石高原町

活動報告
  私たちは、広島県内の中山間地域ほぼ全域を対象に活動しています。
  中山間地域の過疎化、高齢化の解決策として、行政は田舎暮らしや定住促進に取り組んでいますが、せっかく来た新住民が、いろいろな問題により出て行ってしまう例も多くあります。これではいけない、新住民を支援する体制を作らねばと思い、自治体に相談しました。しかし、自治体は個人的なサポートには立ち入れないし、地域のトラブルにも関われないから民間でやっていただきたいと言われてしまい、H20、H21と「新たな公」モデル事業に応募し、私たちで新住民支援事業を実施することになりました。
  まず、田舎に憧れる人に、厳しい現状を知っていただく必要があると思い、積極的な情報発信、田舎暮らし交流会を行いました。そして新住民をサポートする30〜40人の体制を作るとともに、まちの人、地域の人が何を求めているかを理解して新住民をお世話する、コーディネーターの育成会を行いました。
  モデル事業はH21で終了しましたが、コーディネーター育成会、田舎暮らし交流会が契機となって、H22に民間組織「IUJターンゆるやかネットワーク」を設立し、田舎暮らしを希望する人の質問に、実際に田舎に住んでいる人が答えたり、地域で空き家をお世話したりしています。そこから派生して、三次市南部4町の吉舎町、甲奴町、三良坂町、三和町で連携した地域づくりを考える「三次市みなみ4町を結ぶ地域資源発掘プロジェクト」がスタートしました。4町を結ぶ地域資源として、まず、三次市の地域特性である東西南北の文化交流地点に着目し、「田園の中の縁(えにし)を結ぶ町」として、キャッチフレーズ「田縁どおり」を掲げ、それに加えて、ふる里のシンボルとなる「夕陽のふる里」募集にも取り組みました。
  また、安芸高田市から依頼を受けて、空き家調査も行いましたが、調査を通じて、新住民受け入れに対する市民の理解が低いことに気づきました。ふるさとの荒廃を防ぐ社会的正義の観点での意識啓発が必要だと考えました。その一方で、田舎に住みたい、2地域居住したいというニーズも確実にあるのです。
  このように、いろいろな地域を調べ、意見を聞いていくうちに、田舎の問題は構成団体にしても非常に重層的で、全てが関連した複雑なものであり、対処療法では解決しないことに気づきました。何人が定住した、何かを作った、だけではだめなのです。この地域でどう生きていくか、を住民自身が決めなければならず、そのためには、今までのような家単位での役割分担を脱して、個々人が異なる役割を担う等、新しい仕組みも必要でしょう。そして、行政、地域団体、企業、住民が協力し役割分担する、本当の意味で協働することが求められていると考えます。

(補足情報:中国地方整備局)
やまなみ大学地域自立支援センター様のその後の活動については、下記の記事をご覧下さい。
@三次みなみ4町を結ぶ地域資源発掘プロジェクト近況
A第1回三次・田園通り地域づくり交流会取材

発表者
特定非営利活動法人やまなみ大学地域自立支援センター
山本正克氏(写真上)
森 一紘氏(写真下)

特定非営利活動法人やまなみ大学地域自立支援センター:発表者
特定非営利活動法人やまなみ大学地域自立支援センター:発表者

発表資料

質疑応答
質疑
役割分担・協働に関しては、現状でも指定管理者制度や委託等の枠組みがありますが、
目指す協働はそれらの延長ですか、あるいは違うものですか?
応答
延長線上にあると思いますが、行政はどこか住民を手足のように使うところがあります。
任せて口を出さないなど、責任分担が必要だと思います。
質疑
空き家調査は、個人情報の問題などに苦労されたのではありませんか?
応答
調査方法を熟慮し、調査員を慎重に人選することでクリアーしました。
地域の世話人や市に調査の事前周知をお願いし、調査員が地域を歩きやすくしていただきました。
調査員には販売等で既に地域にネットワークを持っている方等、適した人材を選んでいます。
その結果、ここまで教えていただいていいのだろうかという情報が得られました。
質疑
地域コーディネーターの育成プログラムはどのような内容ですか?
応答
地域コーディネーターは、田舎暮らしをしたい人の気持ちや地域のことをよく知らなければ役割を果たせません。
そのためには、我田引水的に自分の背景を主張しない等、心得が必要です。その心得が身に付くような内容です。
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国土交通省中国地方整備局 建政部 計画・建設産業課