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直轄砂防区域の概要
天神川水系における直轄砂防事業は、流域面積321km2(小鴨川流域85km2、天神川本川流域233km2)の広範囲で実施しています。
天神川水系の西部(小鴨川流域)は、新期(更新世)の火山岩で形成されさらに火山噴出物などに覆われており、
土砂生産が盛んな大山重荒廃地帯
となっています。中央部(天神川本川上流域) は、花崗岩などの深成岩で形成され、
マサとなって風化が深部まで進んでいます
。東部(三徳川流域)は古い時期の安山岩を中心とする火山岩で構成され、深い山ひだを形成しています。
このように
天神川水系は、脆弱な地質状況
であり、年間平均降水量も約2,000mmと多く、 既設の砂防堰堤も満砂状態で土砂流出も激しいため、ひとたび土砂災害が発生した場合、その
被害は甚大
なものとなります。
天神川水系における直轄砂防事業は、2つの災害を契機に始まりました。
昭和9年の室戸台風による洪水・土石流災害を契機として、昭和11年度に小鴨川上流部直轄砂防区域の指定を受け、砂防堰堤の整備が進められてきました。
天神川本川流域は、荒廃流域をかかえる小鴨川流域に比べると被害が少なかったため、 砂防事業は、鳥取県による補助事業として進められてきましたが、平成10年の台風10号では、 三朝町でも大きな被害が生じ、平成12年度より本川流域でも直轄砂防事業が実施されるようになりました。
天神川流域内の社会環境・自然環境
土地利用
中山間地である中流〜上流は森林が広く分布し、下流域には倉吉市街地があります。
交通
国道9号、JR山陰本線が下流部を横断しています。また、河川に沿って第一次緊急輸送路の国道179号・313号、国道482号が走り、鳥取県中央部と山陽を結ぶ地域の動脈となっています。
人口の動向
山間部における老年化が著しい傾向にあります。山間部には土石流危険渓流が集中していることから、災害時要援護者が増加することが予想されます。
観光
流域の中央部に三朝温泉、関金温泉があり、一部は土石流危険渓流の氾濫範囲に含まれ、宿泊施設付近での氾濫が懸念されます。
自然環境
上流部の渓流ではオオサンショウウオの生息が知られています。またクマタカが生息するなど豊かな自然環境が育まれています。
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