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ウェットランドの整備内容等についてアドバイスをいただいている有識者の方々のコメント |
(五十音順 敬称略) |
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上野 吉雄 広島県立原養護学校教諭 |
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近年、水質浄化や野生生物の生息場所としてのヨシ原の重要性が見直されています。しかし、県内には広いヨシ原は残念ながら残っていません。野鳥にとってヨシ原は繁殖や渡り中継地として、とても大切な役割を果たしています。たとえば、オオヨシキリやヨシゴイなどはヨシ原でしか繁殖することはできません。また、シマセンニュウ、コヨシキリ、ノゴマなどのように北海道で繁殖し、東南アジアで越冬する鳥たちにとって、ヨシ原は渡りの中継地としてなくてはなりません。さらに、オオジュリンやチュウヒなどの冬鳥にとっては越冬地となります。 |
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そこで、これらの野鳥を観察したい県内のバードウオッチャーは山口県の阿知須干拓地や島根県の宍道湖などに行かなければなりません。灰塚ウェットランドが整備され、県外に行かなくても、ヨシ原の野鳥が観察できる探鳥地が誕生することを期待しています。 |
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菊池亜希良 広島大学総合科学部研究員 |
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昭和50年代,国民の体力向上を動機として,河川敷は様々に運動公園として整備されました.大洪水の時に水を被るかな?と多少不安はあるものの,堤防内に整備されたグランド,サイクリングコース,ジョギングコースなどは地域の日常生活に溶け込んだ施設となっています.河川の高水敷では,このような高度な土地の利活用は既に定着したと言えます.しかし,これに比べてダムの常時満水位と最高水位の間にしばしば出現する広大な洪水調節区域の利活用は未熟といわざるを得ません.現在,灰塚ダムで進められているウェットランドの創出計画は,これまでのダム事業では見られない画期的なもので,広大なダム湖の水面に隣接して生物の楽園を作り出そうというものです。 |
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今では当たり前になった「生物多様性保全」という考え方は,昭和50年代には無かったものです.いま灰塚ダムに生まれつつあるウェットランドは,21世紀の新しい考えに基づいて国土のグランドデザイン,世界の潮流のニーズに答えるものになっています.灰塚ダムウェットランドは,ヨシ,ガマ,ハンノキ,ヤナギなどが繁茂し,豊かな水生昆虫,水鳥が訪れる自然観察に絶好の場所になるよう設計されています.これから重要になることは,地域の方そして三次や広島の方など,将来に灰塚ダムウェットランドを訪れる人が楽しく,有意義にウェットランド創出の過程に参加できることだと思います.そのために工事事務所では,たくさんの人が参加できるみんなのウェットランド作りプログラム作りを考えているところです.今回ウェットランドを作る場所は,本来防災のための場所ですが,10年,20年時間をかけ,みんなの憩いの場,生物や環境学習の場,世代を超えた交流の場を作ることができれば,それが成功だと思います。 |
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暮町 昌保 広島市立亀山小学校校長 |
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広大なウェットランドの出現で水質の浄化、新たな水辺生態系の創出、さらにウェットランドの整備とそれを生かした地域活性化等々色々なことが考えられます。 |
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このウェットランドを含めたダム湖一帯が青少年を含めた多くの人々の多方面での学習の場、環境教育の場として活用されて行くことを今から期待しています。 |
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坂本 充 広島市森林公園昆虫館学芸員 |
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灰塚ダムの完成にともない、ダム湖周辺に出現あるいは創出されるウェットランド。やがて、そこには灰塚地域在来の生態系をベースとした新たな生物群集が形成されることになるでしょう。水生昆虫や魚類をはじめとする水圏の小さな生命の繁殖の場として、また、渡り鳥たちの安息の場として、しっかりと機能してほしいものです。 |
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そして、私がもうひとつ、灰塚ウェットランドに期待を寄せるのが、自然体験活動や環境教育の場として、あるいは研究者や自然愛好者の絶好のフィールドになるはずです。 |
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多彩な生物群集と、自然を愛し学ぼうとする人たちが調和した、そんな活性度の高いウェットランドを期待いたします。 |
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桜井 善雄 応用生態学研究所 信州大学名誉教授 |
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灰塚ダム湖の知和地区で整備がすすめられているウェットランドは、わが国のダム建設にともなう自然環境(野生生物の生息環境)創出の事業としては、おそらく最大規模のもので、現在の国の方針である自然との共存をはかる公共事業として、規模だけでなく内容においても、画期的なものと言えます。 |
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70ヘクタールを超えるウェットランドには、陸地と水域をつなぐ水辺林、小水路、湿地、沿岸水生植物帯、開水面など、さまざまな環境が創出され、植物、魚、両生類、昆虫、野鳥など多様な生物に変化に富んだすみ場を提供して、地域の生き物の世界や自然景観を豊かにするばかりでなく、すぐれた自然学習や自然探勝の場所にもなります。 |
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整備の後に合理的な管理と活用がおこなわれれば、おそらくこの灰塚ウェットランドは、自然共生の時代における地域活性化の核になることでしょう。 |
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白川 勝信 芸北 高原の自然館学芸員 |
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ダムは人間に利益を供給してきた。洪水を防ぎ、安定した水道水を供給する。野生生物にとってはどうだろうか?河川の分断、河原の消失は、水辺の生き物に優しかっただろうか?灰塚ダムはこの疑問に正面から取り組もうとしている。突然の大雨を受け止め、洪水を防ぐために用意された貯水区には、広いウェットランドができるという。ウェットランドは、本来生息していた魚や昆虫の生息地になるほか、水辺を住みかとする鳥たちには新たな生息地を与える。ダムの建設により、野生生物の住みかが創造されるのだ。それだけではない。ウェットランドの自然はダムを訪れた人が自由に観察できる。人が容易に近づくことができる水辺の自然が創られる。人間だけでなく、野生生物に利益をもたらそうとする灰塚ダムの取り組みに期待する。 |
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内藤 順一 広島県立安古市高等学校教諭 |
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三次地区は内陸部でありながら、河川勾配は1/1000〜3/1000と小さく、下流域の特徴が見られます。そのため、コイ科を中心とした魚類相、特にタナゴ類が多いのが特徴といえます。また、なつめばら棗原などで観察したことですが、川〜用水路〜水田を生息域とする淡水魚が多く、そうした行き来の出来る環境が維持されたことが、魚類相が豊かな環境をつくり出していたと考えられます。しかし灰塚ダム建設とともに水田はなくなり、用水路は埋められ、魚類相もここ数年で一変しました。そうした中で、このウェットランドが水田や用水路のかわりとなり魚類や、両生類の繁殖の場となればと期待しております。特にダルマガエルは、日本海へ流出する地域では南西限になります。ダルマガエルの生息環境が創造できればと考えています。 |
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中越 信和 広島大学大学院国際協力科教授 |
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全国的に見て湿地生態系の少ない中国地方の灰塚に人工的に湿地が創出される。環境の時代にふさわしい自然創出事業と考えられ、成功すると東アジア全体に対しても大きな自然保護への貢献となるだろう。 |
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浜田 展也 広島県立庄原格致高等学校教諭 |
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生物教育に長年携わっている立場から、環境教育に活用できる場がつくられることは大変ありがたい。実際に活用するためには、活用しやすくするためのソフトウエアを作り上げることが必要である。 |
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教材への活用も含めて、地域の生物相を調べている立場からは、灰塚ウェットランドが現在減少しつつある生物、特に湿地やため池の生物を保存するジーンバンク的な役割も持ってほしいと思う。 |
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平山 琢朗 広島市立基町高等学校教諭 |
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このプロジェクトは、広島県では最大規模の自然再生事業となるはずです。それだけに、県民のみなさんにもこの事業の経過に注目していただきたいと思います。 |
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前川 俊清 広島県立大学生物資源学部助教授 |
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わたくしたちのために作るダムなのに日常的に近づく機会は多くありませんでした。このウェットランドは、そういうダムの水辺に設けられて、いつでも訪れることができる施設の一つです。水辺の生態系が、できるだけ健康な姿に維持されていますので、ほんものの水辺環境に出逢うことができます。わたくしたちの日常生活をより豊かなものにするために、めいめいがくふうして上手に使っていきたいと思います。 |
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