記者発表

「漁業協同組合との協働による灰塚ダム湖の環境保全に関する取り組み」専門家のコメント
(五十音順 敬称略)
辻駒 健二(江の川漁業協同組合組合長)
 ・江の川河川環境調査委員会委員
 日本特有の川を守る必要がある。我々が川を保全すると言うよりは、「我々は川の守をしているんだ」と話した組合員の方がいるが、確かにそういう感覚だと思う。そのためには、このような対策は必要だと思う。我々も人任せではなく、協力してやっていきたい。
 情報公開で、様々な形で外来の種が国内に入っていることが明らかになってきた。バスなどのスポーツフィッシングでキャッチ・アンド・リリースをされている人達がいるが、自然の生態系を保全するために考えて欲しい。人間のエゴで国内に持ち込まれた外来種を野放しにしたケースもあるようだが、最後まで責任をもってほしい。
内藤 順一(広島県立安古市高等学校教諭)
 ・灰塚ダムモニタリング委員会委員
 ・江の川河川環境調査委員会委員
 ・灰塚ダム知和地区環境総合整備計画アドバイザー会議委員
 殺生をきらう仏教思想があるため、リリースという名のもとに外来種を容認することが定着しつつありますが、もともとオオクチバスやブルーギル等は日本には生息しなかった種です。私たちの見えないところで多くの魚類や両生類、節足動物が食害に遭っていることを考えれば、今回の対策はあたりまえのことであり、むしろ生態系が破壊されつつある中で、遅いくらいです。
 行政として、正しい方向性を示すことが大切であり、個人のエゴ、利益優先の考え方はつつしむべきです。自分の子供・孫達に、日本の生態系が残せるように努力すべきです。
中越 信和(広島大学総合科学部教授:景観生態学)
 ・灰塚ダムモニタリング委員会委員
 ・灰塚ダム知和地区環境総合整備計画アドバイザー会議座長
 ダムが持つ水位調節機能を効果的に活用することで、オオクチバスの卵を駆除し、個体群の調整を図るという取り組みであり効果が期待される。
 水位を下げることによりオオクチバス以外の生物への影響も考えられるが、ダム湖はもともとある程度の水位変動があるので、それに適応した生物が生息するようになると考えられ、大きな問題にはならないと思われる。
 ただし、比較的深いところに設置した人工産卵床を引き上げて卵を駆除する場合は、産卵された卵がオオクチバスの卵か他の生物の卵かを確認した上で、もし他の生物のものである場合には、元に戻すなどの配慮が必要と考えられる。
広島県農林水産部 農水産総室 水産振興室
 これまで他県で試行されてきた人工産卵床設置によるオオクチバスの誘因駆除では、産卵床に誘引され産卵を終えたオオクチバス親魚を人手を掛けて除去し、卵の自然死を待たなければならなかった。
 本計画は目的を「繁殖抑制」として駆除対象を卵に絞りこむことで、ダムが持っている「水位が人為的に調節できる」という利点を積極的に活用し、通常のダム管理の範囲内で人手をかけずに卵が駆除できるという点で画期的である。また、主ダムと副ダムを含めて連携した水位調節をおこなうことで下流域への影響を最小限に抑えられる点も評価できる。
 なお、この計画だけでは親魚の駆除が不可能であるため、併せて産卵床周辺に刺し網を設置するなど、他の駆除手法を組み合わせることで、より効果的な駆除が実施できると思われる。
 今後、この手法を他の人造湖へも応用し、外来魚被害防止の推進を図っていただきたい。
村上 恭祥(広島県内水面漁業協同組合連合会 技術顧問)
 ・灰塚ダムモニタリング委員会委員
 ・江の川河川環境調査委員会委員長
 全国各地でオオクチバスによる在来種の生態系に混乱をもたらしています。せめて新しくできるダム湖の多様な生息環境は維持創出したいものです。
 オオクチバスの侵入防止が最大の防御です。特定外来生物被害防止法の実効を期待するとともに、もし、新しいダム湖にオオクチバスが侵入してしまった場合、現時点で最も効果的な繁殖阻止対策を試行するものです。地域の方々のほか各位のご協力をお願いしたい。
渡邊 明英(広島大学工学部助教授:河川工学)
 ・灰塚ダムモニタリング委員会委員
 ・江の川河川環境調査委員会委員
 人工産卵床の使用は、ブラックバス等外来魚のダム貯水池内における繁殖抑制対策として、有効であると思われる。ただし、設置する場所や高さ、水位の制御等の運用方法については、実施・調査しながら検討を重ねる必要があろう。
 また、流域そのものにブラックバス等が既に侵入してきているようなので、最終的には流域一体化した管理や対策が望まれる。
和藤 春男(田総川漁業協同組合組合長)
 田総川には、オオクチバスはいないと思っていた。出現した場合の対応方法について経験もない。
 有識者の指導も仰ぎ、協力して貯水池内のオオクチバスを撲滅していきたい。

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