千代川流域圏会議通信

千代川流域圏会議通信
[2000年3月号 vol.23]

“因幡の清流”千代川の保全を目指す『清流を守る行動計画』への意見を募集!
 当会議では、平成11年6月8日に千代川の水のおいしさを広く知っていただき、おいしい水を守る方策を流域住民の方々と考えるために、次世代に引き継ぐきれいな千代川をテーマに『おいしい水シンポジウム』を開催しました。
 このシンポジウムでは、心の豊かさや千代川の「おいしい水」など、現在、あるものの豊かさに我々が気づき、上下流の人々が交流を深め、連携して取り組むことが大切であるという認識が得られました。その結果を受け、当会議において流域全体を視野に入れて、そのおいしい水をいかに後世に引き継ぎ、鳥取県東部の歴史や文化を育んできた“因幡の清流千代川”をいつまでも、美しい川として守るために、現在、『清流を守る行動計画』の実践に向けた方策を取りまとめています。
 この行動計画は、水質、森林、ゴミ問題の三つの大きなテーマに分けて、そのながで現状を調べ、そこからでてくる問題点を洗い出し、当会議でどのような解決策や対応策ができるか、また、流域の方々と一丸となってだれもが参加して取り組めるような行動計画を作成していきたいと思います。昨年の11月に開催した第5流域圏会議の場でこの計画策定を発表してから今日まで、流域にお住まいの方々から何通かご意見、ご要望をいただいております。いただいたご意見やご要望については、この計画策定に取り入れさせていただきます。
 “まちを結ぶものが川であり、河はその地域の財産です。”この計画を流域の皆さんと一緒に考え、千代川の清流を守っていきたいと思います。
千代川上流(智頭町)
ゴミの不法投棄
(河川敷内の橋脚付近)
芦津川遊び(河原町湯谷)
ご意見、ご要望やご提案を当会議へお寄せ下さい。お待ちしております。
千代川流域圏会議事務局(国土交通省鳥取工事事務所内)
tel.0857-22-8435 fax.0857-22-5714
e-mail:info-tottori@cgr.mlit.go.jp
会員紹介
郡家町中央中学校教諭 山本 晴恵さん
私は、岩美銅山の鉱毒のため、魚や水生昆虫はもちろんのこと、水鳥やその他の動物もまったくいない、そして草木も一本もはえていない川のそばで育ちました。
 だから私が教員になって八頭郡に赴任した時、川の魚を食べるということや川にも漁業組合があることがとても珍しく、新鮮に感じました。
 初めて釣りに誘って頂いた時には、2〜3日浮きうきして子供のように嬉しかったことも思い出します。
 河原中学校で、水生昆虫による千代川の水質調査を始めたときには、川の中に、マムシやムカデ・ハチのように毒を持ったり噛んだり刺したりするものがいるのではないかと心配で恐るおそるの調査研究でした。しかし、そのうちに川には、そう言うものがいないことが分かったり、小さい頃、用水路で見かけたハグロトンボやカワニナ、オタマジャクシなどが見つかってすごく懐くかしく感じ、毎年これらの動物に会うことが楽しみで調査を続けているうちにいつのまにか17年もたっていました。
 平成11年度は、千代川とその支流の18本の川(八頭郡8町村の川)を41地点、中央中学校の生徒と共に調査しました。3地点を除く38地点が、きれいな水と判定できてほっとしていますが安心している訳ではありません。
 家庭の雑排水、農薬、除草剤、果樹園の消毒、松食い虫の消毒、道路や護岸工事による濁り水の長期間の流出、コンクリートブロックを使用した堤防工事による川の環境変化、空き缶・空き瓶・発泡スチロール・プラスチック製の弁当殻などのぽい捨て、自動車の排気ガス・ウオッシャー液など沢山の問題があります。思い切って禁止したり、廃止するとか、住人の一人ひとりが、『自分の命を守るために』(千代川の伏流水を上水道に利用している)どんなに小さなことがらでもよいので、自分に出来ることから実行していかないと取り返しがつかなくなるのではないかと心配しています。千代川は今のところきれいな水と判定されていますが、水生昆虫の種類や数が以前よりずっと減ってきていることから判断しても汚れてきていることは事実です。それでもまだ、千代は、アユやウグイ・イワナなどの魚がたくさんいて、冬にはマガモやオシドリなどの渡り鳥が飛来するような素晴らしい川です。せめてこれ以上汚さないようにして、綺麗なままで未来の子供達に残してやりたいものと強く念願している私である。
山本 晴恵さん
水生生物調査中の山本さん
千代川流域歴史・文化探訪[13]
佐治川石
佐治村
 佐治石は、鞍馬石・薩摩石・熊野石と肩を並べる日本四名石として知られています。佐治石の特徴は、色は青黒く雨にぬれると青光をおびきわめて落付を感じさせ、硬質にして重く容易にこけを生じません。凹凸に富んで珍しい形をして、永年佐治川の激流に洗われているので重宝がられています。この佐治石は、輝緑疑灰石と呼び火山灰が堆積凝固して変質したものだと称されています。なお、この名石は佐治川石公園で身近に見ることができます。
巨大な佐治石が点在する佐治川石公園
佐治川石公園の地図

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