千代川流域圏会議通信

千代川流域圏会議通信
[2001年1月号 vol.33]

21世紀に誇れる千代川を守りましょう!
〜これからの千代川流域圏会議の活動について〜
=年頭の挨拶=

 新年、あけましておめでとうございます。
 千代川を軸として交流・連携を図り、豊かなふるさとを創造するために、鳥取大学道上副学長を先頭に進めてきました千代川流域圏会議も今年で4年目を迎えることとなりました。新世紀の初頭にあたりまして、これからの千代川流域圏会議の活動のあれこれをご報告いたします。
 千代川流域圏会議では、平成12年7月に「清流を守る行動計画」を策定し、またこれにあわせ「千代川清流保全宣言」を制定いたしました。今年はこの計画により千代川の清流を守る活動を中心に進めております。

■千代川をきれいにする活動
 千代川に捨てられたゴミは、川を流れて鳥取砂丘や日本海まで流れていきます。
 このような千代川流域をきれいにする活動として、現在、各種の団体により河川清掃や砂丘清掃が行われています。今後はこれら清掃活動を応援していきます。

■きれいな水を守る
 上流の町村では、千代川をきれいにするため、下水道や浄化槽の整備を積極的に行っていますが、その水をさらにきれいにするための処理方法についての講習会や勉強会の開催を検討していきます。
 また水質浄化の先進事例として、休耕田等を利用した植物浄化実験が鳥取大学の協力を得て国土交通省殿ダム工事事務所で実施されていますので、これを紹介するための見学会を当会議にて企画していきます。同様に智頭町内においても、植生を利用した高度浄化の実験を流域内のモデルケースとして実施するよう検討中ですので、 これについても協力していきます。

■「千代川流域圏会議」による森づくり
 河川の清流を守るためには、上流にある森林を守っていくことが必要です。
 そのために、日頃森林とふれあうことのない地域の人たちと源流域の森林を見学したり、森林調査隊を組織し、植林や枝打ちなどを体験するイベントを実施し森林保全について考え行動してまいります。

■千代川フェスティバルの実施
 千代川フェスティバルは千代川の日(8月24日)を記念して毎年実施しております。第4回目となる今年は、智頭町を会場として開催します。

 そのほか、会に参加される方々は、様々な活動で千代川を守る活動を続けております。
 川は、その流域の状況を反映する鏡であると思います。
 皆様方におかれましても、21世紀に誇れる河川として千代川を残せるようご支援、ご協力をお願いいたします。

副会長 国土交通省鳥取工事事務所長 中島英一郎
植林の様子 「千代川フェスティバル」
川のお魚観察会の様子
千代川河口清掃の様子
会員紹介

千代川の思い出

自然に親しむ会会長 清末 忠人

 千代川にまつわる楽しい思い出はたくさんありますが、唯一つらく苦しい思い出は、第二次世界大戦の最中に、 鍬を打ち込むとカチッと音がして火花が散り、腕に電撃の走る石ころだらけの河川敷を、汗だくで毎日耕したことでした。
 楽しい思い出は、魚釣り、川遊び、河原での相撲、昆虫採集、写生大会など際限がありません。
 一方、平成4年2月から5年8月まで、67回にわたって産経新聞に掲載された「千代川」は記者の小林宏之氏と案を出し合い構想を練ったもので、その流域に生まれた独特の産業、文化は鳥取市発展に如何に寄与し、流域の人々はこの川とどのように関わってきたのか明らかにしたいと考えたものでした。
 そして、度重なる洪水と困難を極めた治水の実態、流域住民の水がめとして農業、工業、飲料水に利用するための長い道程、林業との関係、漁業対策、年中行事、生物の生息地として川の変遷と流域の多面的な視点でとらえてみました。
 いま読み返してみても、決して粗末なものではなく、むしろ心しなければならない点が多くあります。これからも、千代川を見つめながら、さらに人とのつながりや生物の環境としてどうあるべきかを模索していきたいと思います。
【ご意見の紹介】
千代川の自然を守り続けるには
 本誌11月号にて、千代川の高水敷に菜の花の種を蒔いたことを紹介いたしましたが、これについて当会議会員の藤島弘純氏より、ご意見をいただきましたので紹介します。

 「河川敷は今、人里で自然が残っている数少ない場所の一つです。定期的な草刈りや洪水で、自然の植生が破壊されることで、荒れ地にしか生きることの出来ない動物や植物が生活しています。そこに、異質の植物を作為的に導入することは、河川敷で生きる荒地植物を排除することになります。植物の種類が減りますとそれらを食草にしている動物たちの数が減ったり、生活できなくなったりします。豊かな自然とはいろいろな植物や動物が混然として生活している自然のことです。
 一口に「菜の花」といってもいろいろな種類がありますが、千代川下流域で見られるセイヨウカラシナは荒地植物を排除することになります。このたびの菜の花は種類が特定できないので在来種を圧迫するかどうかはわかりません。また、菜の花の種まきにより川に親しんでもらう、関心を持ってもらう契機とするのは、千代川下流域のようにスポーツ広場等が整備され市民に利用されている場所や袋川のように人工的に作られた河川では、問題ないと思います。しかし「千代川NEWS」を読まれた方が『菜の花の種を蒔いたりメダカを川に放したりすることが自然保護である』と誤解されるとが心配です。」

 ご意見ありがとうございました。このたび種まきを行った箇所は千代川下流(鳥取市民スポーツ広場の下流側)でしたので、上記のような問題はありませんでしたが、引き続きご意見の観点にも配慮した河川敷きの管理の実施が必要と思われます。
セイヨウカラシナ
菜の花種まきの位置図



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