千代川流域圏会議通信

千代川ニュース
千代川流域圏会議通信
[2003年1月号 vol.57]

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【新年号特別企画】

千代川流域圏会議
道上会長に聞いた
カッパの話、千代川の話、そして・・・


去る11月某日、千代川流域圏会議の生みの親であり、会長をつとめておられる鳥取大学の道上会長にお話をうかがってきました。流域圏会議の賛助会員を代表して訪問した鳥取大学三回生の浜谷理栄さん、安井美佳さんのお二人は、学長室のソファで最初は緊張の面持ち。
しかし、国土交通省鳥取工事事務所の廣川所長の進行で始まった対談は、いろいろ興味深いお話が飛び出して・・・

廣川)まずは、自己紹介をしながら、川についての印象や思い出などお願いできますか?
浜谷)私は鳥取市、地元の出身です。小さい頃には犬の散歩で千代川の河原を歩いたり、滝を見に行ったりした思い出があります。
安井)私は京都府の丹後地方にある網野町から鳥取大学にきました。実家は山の中で、近くの川で泳いだりもしていました。でも今見るとちょっと汚いので・・・。
会長)私は田舎生まれで、山もあり、海もありのところで育ちました。よく海で泳いでその後川で水浴びしたりしていました。ところでお二人は大学でも川の勉強をしているんですよね?
浜谷)学校で習うのは難しい数式ばかりで・・・。
二人)あんまり面白くないです。(笑)

カッパの正体とは?

会長)私は、川の文化や「カッパ」について研究しているんですが、お二人は「カッパ」知ってますか?
浜谷)頭にお皿があって緑色の?
会長)そう、その「カッパ」です。日本人というのは、川と密接な関係にあるんです。川で水浴びしたり、洗い物をしたり、田んぼに水を引いてきたり・・・。そういう川と人とのつきあいを文化というわけです。そうした中で、「カッパ」とか「龍神さま」とかの話が出てきたんじゃないかな?
そこで私は「カッパ」というのは川にできる「うずまき」だと思っているんです。いろんな意見があるけれど、原風景というのは、「うずまき」だと思うんです。上から見たら皿に見えない?
二人)はぁ〜(驚)
会長)これは感性の違いだね(笑)。でも最近は川がきれいになってうずまきも弱くなってきたし「カッパ」も少なくなってきたね。そういったことも考えて、これから川はもう少しふらふらさせてあげたほうがいいかなあと思うんです。

やさしい川とこわーい川

会長)ところで二人は「洪水」を見たことある?
浜谷)川が溢れそうなところは見たことがあります。小さい頃、袋川の南大橋のところで。
廣川)54年の水害ですか?
浜谷)いや、まだ生まれてないです。
一同)笑(平成2年の台風のようです)
会長)川というのは、二つの人相があると思うんです。何十年かに一回の洪水のような怒った時と、千代川フェスティバルのときのような魚つかみしたりするような優しいときと。
日頃の川を見てたらあんな大きな堤防いるかいなと思わない?
二人)そうですね。
会長)若い人たちは洪水の怖い川とか知らないからね。でも二人は国土交通省の実習に行ったそうだけど、習わなかった?
廣川)やさしい川ばかりでしたか?
二人)
会長)今は皆さんの関心は優しい川のほうにあるかもしれないけど、川には怒った顔があるのを覚えとかないといけないね。

これからの川とのつきあい方

廣川)それでは、地域の皆さんに川に対して親しみを持っていただくために、学生のお二人から見てなにをしたらよいか意見がありますか?
安井)私の実家がある網野町では、百キロマラソンというのが毎年あります。参加費は1万円かかるんですが、全国から参加者が集まります。百キロマラソンといえば網野町という感じで。楽しいイベントなどがあれば、私たちのような大学生も参加すると思いますよ。
廣川)千代川フェスティバルはどちらかといえばファミリー向けかな?
浜谷)魚釣りとかあれば行きたいかなあ。それに、四季のイベントがあれば楽しいと思います。春は桜。船を出したりして、その上で団子などを食べる事ができたらと重います。夏はキャンプなど。魚釣りなどして河川に生きている生物について考えるきっかけにもなると思います。秋は紅葉とか。みんなでハイキング気分で源流や滝を見に行けたらいいです。
会長)千代川流域圏会議には川をきれいにしていこうという目的もありますが、お二人はどうしたらいいと思いますか?
安井)河原に「ポイ捨て禁止」の看板があまりにもいっぱい立っているのも・・・。常識として捨てないようにしないと。山の中に行くとけっこうゴミ落ちてますからね。
会長)まずは川に関心を持ってもらうことから始めないといけないでしょうね。昔は川に水を汲みに行ったりして身近だったのが、今は蛇口ひねれば水が出るし。川がどんどん安全で、生活も便利になれば、川への関心も薄まってきているんじゃないかなあ。みんなが関心を持てばポイ捨てもなくなるしね。関心を持つためには、川がレクリエーションの場所ということも大事だけど、川と人とのつきあい、つまり文化や伝承などを掘り起こしてみるのもとても面白いんじゃないかな。悲恋の民話や、中にはエッチな話とかもあるし。
一同)
安井)私も個人的に歴史、民話や伝説とか好きです。
会長)そういうのもっと発掘してみたらいいかな?つまりそういうことを通してイメージが膨らむと新しい発見があったりする。感性が大事だね。自分なりのイメージを膨らましていく力。人間だからみんながそれぞれに感じ方は違うはずだよ。だからそれぞれに千代川に対するイメージを膨らましていって、関心を持っていくといいと思うね。とにかくもっともっと、みんなに千代川への関心を持ってもらいたいね。
二人)はい!

廣川)カッパの話から想像力の話まで、会長の口からはとても興味深いお話が飛び出しました。一貫して感じるのは、千代川、そして流域圏会議に対する愛情です。そんな会長に刺激を受けたのか、浜谷さんも安井さんも、千代川への思いはぐっと強くなったようです。

お話を聞いて

安井 美佳
鳥取大学土木工学科3回生
京都府竹野郡網野町出身

安井)
 対談を今までやったことがなかったので、始まるまではすごく緊張しました。でも、実際は雰囲気も和やかで、思ったことを話すことができたように思います。
 最近では川で遊んでいる子供も少なく、淋しい気がします。自然の中で遊ぶことが少なくなった今こそ、地域の人に河川に興味を持ってもらい、河川のあるべき状態を考えてほしいと思います。
 何かきっかけが無ければ難しいとは思いますが、これからもずっとお世話になる河川だからこそ守りたいと思いました。

浜谷 理栄
鳥取大学土木工学科3回生
鳥取県鳥取市出身

浜谷)
 河童のお話を伺って、なるほど!と思いました。渦は流したものを下流に流れるのを防いだり、人が泳いだときの波紋に似ています。わんぱく小僧に似ていたので河童とつけたのではないかと、私の中にも想像が膨らみました。多くの人が存在しやしないと思っている中、河童について研究しておられる道上会長がとてもすてきな方だと思いました。
 今回の対談ではめったに聞くことができない河童の話や、千代川についての思いなどについて伺うことができてとてもよい機会でした。会員として、土木の人間としても、これから頑張っていきたいと思います。

 


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