千代川流域圏会議通信
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千代川流域圏会議通信
[2003年3月号 vol.58]
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冬の千代川も楽しいね 野鳥観察のススメ

 今回は、冬の千代川を楽しもうと、(財)日本野鳥の会鳥取県支部副支部長である福田紀生さんに冬鳥のことをお聞きしながら、バードウォッチングに挑戦しました。

福田さんにお聞きしました。

◆冬の千代川では、どんな鳥たちを見ることができるんですか?
「一番目にするのはカモの仲間ですね。最も一般的な「マガモ」をはじめ、茶色の頭の中央がクリーム色の「ヒドリガモ」、白い顔に黒ぶちの目でパンダガモの愛称で親しまれている「ミコアイサ」や、頭の形が勇将ナポレオン愛用の帽子みたいな「ヨシガモ」など、個性豊かに川面を賑わせています。」

◆なるほど。よくよく見るといろんな種類のカモがいるんですね。
「川面を漂うマガモの群れには、春の繁殖期を前に首を上下に伸ばしたり縮めたりする「ポンピング」を見せるものがあります。マガモ以外のカモでは首をグイっと反らせるなどの行動を見せます。これらは「ディスプレー」と総称しています。この時期の河川敷の木立などでは、気の早い小鳥たちがさえずりを始めます。様々な野鳥たちの求愛行動が見られ始める春もそこまで近づいています。」

◆鳥の種類は知らなくても、動きを見ているだけで楽しそうですね。鳥取県の鳥、オシドリには出合えますか?
「オシドリは本来は川にいない鳥です。人の気配に敏感で簡単には姿を見られませんが、国府町の清源寺池や鳥取市の大沢池では、車の中から遠巻きにそっと観察していたら姿を見ることができるかもしれません。」

◆千代川では他にどんな鳥を見ることができますか?
「冬の小鳥類では「アトリ」や「オオジュリン」など。カモ以外の大きい水鳥では、「コハクチョウ」などがいます。川で休息する鳥、山から訪れる鳥、えさを求めて川に来る鳥と、いろんな目的でやってくるので、ひと冬に30種類以上もの野鳥が千代川周辺を訪れていると思います。」

はじめての
バードウォッチングに挑戦!

 福田さんの指導のもと、いよいよバードウォッチングを開始!今回の場所は河原町内、八東町と私都川が合流し千代川が広く大きな流れとなる地点です。(ここは福田さんの大好きな観察ポイントでした)
 まず準備から。
「野鳥はとても敏感。刺激しないよう景色に溶け込む色の服装で、もちろん防寒対策も忘れずに。」との助言を受けて、必需品の双眼鏡の使い方を教わります。バードウォッチングが初めてのぼくは扱いやすく、鳥のようすをよく観察するため倍率8倍の双眼鏡を手に。福田さんは、より高倍率の双眼鏡を持っています。最初は実際に目で野鳥を探しながら歩いていきます。
 枯れ枝の木立、カサカサ音を立てるヨシ原が広がり、川は冷たく澄んだ流れで、冬枯れの千代川です。歩きつつ川面に漂う鳥や木の上にいる鳥、空を飛ぶ姿を見つけるのはもちろん、「中洲に茂るヨシの揺れにも注目」という福田さんの言葉を頼りに「野鳥はどこ?」と期待して目を凝らすぼく。すると発見!川面には2羽の野鳥が。双眼鏡を構え「福田さん、いました!1羽は頭が緑色、もう1羽は茶色のようですっ。」「それはマガモのつがいですよ。」仲良く川上へ向かいます。「やったー!」と発見した喜びは2倍3倍。枝で休む姿、水中に潜っていく姿、大きく羽をひろげる姿、群れて飛び交う姿・・・そこここで生き生きと動く野鳥が次々と観察できます。1時間ほどの探索で、なんと10数種を見つけられました。また鳥取市向国安では、家族単位で行動するコハクチョウが30羽程、灰色の若鳥と白色の成鳥が交じり落ち穂をついばむ姿も観察できました。
 体色、姿かたち、大きさも様々な野鳥たち。名前を知らないぼくも行動やしぐさを十分楽しんだバードウォッチングでした。千代川の春は、ホオジロがさえずり、ツバメの先発隊が訪れる頃。今度は春の匂いを探しに来たいなぁ。

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