調査結果から

森の景観

樹高（じゅこう）が平均16ｍもあるようなアカマツ林です。しかし、枯れかけて弱っているアカマツ が多いため、生きたアカマツの樹冠（じゅかん）は林冠（りんかん）の半分も被っていません。
一方、林内の樹木は、アカマツの美林と同様に生育がおう盛です。木々が生い茂り、林内から上を見上げても空がまったく見えないような状況です。

特徴づける樹木

ほかのアカマツ林と共通する樹木がほとんどです。立ち枯れたアカマツ が見られるほかは、マツ枯れ林だけに特徴的に現れる種はありません。
アカマツ ，クロモジ ，タカノツメ ，タムシバ ，ナツハゼ などは、アカマツ林のすべてのタイプに共通して現れます。これらは、コナラ林や常緑樹林ではほとんど見かけません。

種の多様性

マツ枯れ林では、100m²あたり、平均約41種の植物が生育していました。アカマツの美林よりも多くなっています。
内訳を見ると、常緑樹、落葉樹の種類がアカマツの美林よりも多いことから、アカマツ が枯れて林の中が明るくなったため、次の世代を担う樹木が育ち始めているのだと考えられます。

この森林の将来

現在は、生き残ったわずかなアカマツ や立ち枯れたアカマツ が存在するので、アカマツ林と見分けることができます。しかし、生き残ったアカマツ が枯れ、枯れた木も倒れてしまえば、林の姿はすっかり変わってしまいます。
林の中には、すでに次の段階の樹木が育っています。コナラ やアベマキ が多い場所ではコナラ林へ、常緑樹のシイ(ツブラジイ )やカシ(アカガシ ，ウラジロガシ ，ツクバネガシ ，シラカシ )の仲間が見られる場所では、常緑樹林へ、短い期間で移り変わっていく（遷移する）と考えられます。
将来的には、シイやカシの大木が林立する常緑樹林へ移り変わるでしょう。

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