記者発表
お知らせ(平成18年1月6日)

灰塚ダムにおけるコウノトリ等の定着に向けた取り組みについて
 国土交通省江の川総合開発工事事務所では、昨年2度にわたり整備途中のウェットランド(生き物の生息地としての湿地)に同一個体のコウノトリが飛来したことなどを踏まえ、今後、灰塚ダムのウェットランド及びその周辺へのコウノトリやガン・カモ類等の飛来・定着を促すため、ウェットランド整備計画に含まれている下記の取り組みを実施します。
1.冬期湛水の試行による湿地環境の創出
 灰塚ダムのウェットランドに近接する生活再建地(のぞみが丘)の水田所有者をはじめ同地区の協力が得られたため、冬期間水田に水を張って湿地環境(主として鳥類の採餌環境)を創出する”冬期湛水”の試行を1月10日午後1時30分から開始します
 今回冬期湛水を行う水田の面積は、約6,000u(6反)です。今後2年間にわたって冬期湛水を試行し、試行期間中は、水田での餌となる動植物の調査、住環境への影響及び営農への影響などについてモニタリング調査を行います。
2.大谷地区における水田跡地の湿地化
 灰塚ダム建設に伴い耕作が中止された大谷地区における水田跡地の一部に、地域の協力を得て水を張り、湿地環境を復元する取り組みを行っています。
3.コウノトリが飛来した谷戸における湿地環境の復元
 現在実施している灰塚ダムの試験湛水に伴い、整備中のウェットランドの大部分が一時的に水没します。
 このため、試験湛水により水没しない谷戸(小規模な谷の棚田状の水田跡地)の整備(湿地の復元)を昨年8月及び11月に一部前倒して実施したところ、9月にはこの谷戸にコウノトリが飛来しました。
 今後、1月中を目途に残る整備を完成させ、谷戸の湿地環境を復元します。
谷戸整備図面はこちら

コウノトリの飛来に関する主な経過について
【平成17年4月下旬頃】
 ◇ 灰塚ダムのウェットランド整備予定地に飛来
【平成17年5月25日】
 ◇ 観察する際の注意事項を記した看板を現地に設置
 ◇ 鳥類の専門調査員による追跡調査の実施(5月27日まで3日間実施)
 ◇ 調査員による現地での観察を開始
  ※:以後7月4日まで毎日コウノトリの姿を確認
【平成17年5月27日】
 ◇ 当工事事務所のホームページに”コウノトリ情報”コーナーを新設し、日々の観察情報や写真などの
   提供を開始
【平成17年7月3日】
 ◇ 灰塚ダムモニタリング委員会の委員により現地視察を実施
    ・コウノトリをウェットランド整備予定地(県道から見える場所)で確認。
 ◇ 第2回灰塚ダムモニタリング委員会を三次市内で開催
    ・現個体を定着させる方法について以下の意見が出る。
 湛水により現在ねぐらとしている橋脚が水没し、採餌環境も減少する。このため、フロート型のねぐらをつくるとか、ウェットランドの谷戸や大谷地区に湿地を確保し、ザリガニやドジョウを放流するなどの対策を検討してほしい。また、周辺の水田に冬季に水を張ることも有効と考えられる。
 餌となるドジョウの放流については、安易に外国産のものを放流しないようにするべきである。
 採餌環境として期待できるウェットランドの谷戸を早く湿地環境に復元する必要がある。また、営巣木となる松の木を大事にするとともに、密集していれば間伐することなども考えられる。
 ダム事業においてコウノトリの保護をどこまで行うのか明確にすべきと考えられる。
  ※:第2回灰塚ダムモニタリング委員会の議事要旨は、当工事事務所のホームページ”お知らせ”に
     掲載しています。
【平成17年7月5日】
 ◇ コウノトリの姿が確認できなくなる。
【平成17年7月13日】(新聞情報)
 ◇ コウノトリの姿が岡山市灘崎地区の水田で確認される。
【平成17年7月28日】
 ◇ 灰塚ダムの試験湛水を開始する。
【平成17年8月8日】(新聞情報)
 ◇ コウノトリの姿が福岡市東区の人工島(アイランドシティ)で確認される。
【平成17年8月22日】
 ◇ 灰塚ダムのウェットランド整備予定地内の谷戸の一部(約13a)を整備する。
    注)谷戸全体の面積は150a
【平成17年9月6日】
 ◇ コウノトリの姿が灰塚ダムのウェットランド整備予定地内の谷戸で再び確認される。
 ◇ 台風14号が長崎県諫早市付近に上陸する。
【平成17年9月8日】
 ◇ コウノトリの姿が再び確認できなくなる。
【平成17年10月2日】(新聞情報)
 ◇ コウノトリの姿が香川県綾歌郡綾南町で確認される。
【平成17年11月16日】
 ◇ 灰塚ダムのウェットランド整備予定地内の谷戸の一部(約8a)を追加整備する。
【平成17年11月26日】
 ◇ ウェットランドの計画・整備について指導・助言を頂いてる10名の専門家による現地視察が
   行われる。
【平成17年11月下旬】
 ◇ 大谷地区の水田跡地の一部を湿地化する。

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■お問合せ
 国土交通省中国地方整備局 江の川総合開発工事事務所
  副所長(技術)
やまだ けいいち
山田 啓一
  調査設計課長
しょうじ しゅんすけ
庄司 俊介
  設計係長
いんきょ ひでゆき
印居 英文
 TEL(0824)72−3301(代表)

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