記者発表
お知らせ(平成18年4月6日)

灰塚ダム知和ウェットランドにコウノトリが三度飛来!!
~新たなコウノトリの飛来により定着への期待が高まります~
 国土交通省江の川総合開発工事事務所が整備を進めている灰塚ダム知和ウェットランド(生きものの生息地としての湿地)予定地に、三度コウノトリが飛来しました。
 灰塚ダム試験湛水も終盤にさしかかった4月1日午後2時40分頃、灰塚ダム貯水池周辺の巡回を行っていた職員が発見しました。最初に発見した場所は、ウェットランドの基幹施設として整備された知和堰堤付近。その後ウェットランド周辺を縦横に移動しながら日が暮れるまで採餌行動を繰り返していました。
 なお、今回飛来したコウノトリの写真情報をもとに専門家に同定を依頼した結果、以前灰塚ダムに飛来してきていた個体とは別の個体であることが判明しました。
 新たなコウノトリが灰塚ダム知和ウェットランドを見つけて来てくれた事は、コウノトリの定着場所として今後ますます期待が膨らみます。
 国土交通省江の川総合開発工事事務所では、今後も地元の皆さんの協力を頂きながら、あたたかく見守って行きたいと思いますので、別紙の注意事項を守り観察マナー向上にご協力願います
 最新のコウノトリ情報は、国土交通省江の川総合開発工事事務所ホームページでもご紹介していきます(4月7日より)。
1. コウノトリ観察にあたってのお願い
 
その1: 観察および写真撮影は100m以上離れた出来るだけ遠くの所からお願いします。
その2: 野生動物ですので、餌付けをしないようにお願いします。
その3: 車でお越しの際は近くの展望広場等や道路停車帯を利用し、交通の妨げになる様な駐車はご遠慮下さい。
  現地に別紙-1に示す看板を設置していますので、観測マナーを守りコウノトリをあたたかく見守っていきましょう。
2. 今回飛来したコウノトリの個体同定結果について
 
同定は兵庫県立コウノトリの郷公園内兵庫県立大学自然・環境科学研究所の大迫主任研究員に依頼しました。
コウノトリが羽を広げ飛行している写真情報が決め手となったようです。
<今回のコウノトリの特徴>
①左の翼の初列風切り羽の2枚が欠損している
  ②幼羽が残っている
  以上の特徴から、以前灰塚ダム知和ウェットランドに飛来してきた個体とは『別の個体』であると識別されました。
<今回のコウノトリはどこからきたのか?>
今年の1月~3月に岡山県瀬戸市内にいたものと同一個体であることを確認しています。
また、昨年の夏頃~12月初旬にかけて博多湾で確認された個体とも同一である可能性もあり、これについては現在調査中です。
3. 今後のウェットランドの整備ならびにコウノトリ定着に向けた取り組みについて
 
<今後のウェットランドの整備予定について>
 灰塚ダムでは、平成17年7月28日より試験湛水※を開始し、平成18年3月7日にダムの満水を迎え、その後貯水位を徐々に低下させ、4月7日には通常管理する貯水位(常時満水位)まで水位が低下し試験湛水を完了する予定です。
 今後の灰塚ダム知和ウェットランドの整備は、開水面を創出する役割を担う知和堰堤の残工事と、沼沢地部分の園路整備や植栽といった仕上げの工事を予定しており、今年度の完成を目指しています。
 また、ウェットランドの整備にあたっては平成15年度より、有識者からアドバイスを受けて具体的な整備内容、利活用方法の検討を進めています。
※試験湛水の目的: ダムが通常の管理に移行する前に、満水位以下の範囲内で、貯水位を上昇・下降させダムおよび貯水池周辺地山の安全性を確認するために実施するものです。
<コウノトリ定着に向けた取り組みについて>
ウェットランドに近接する生活再建地(のぞみが丘)の皆さんの協力により、水田に冬期間水を張って、主として鳥類の採餌環境となる湿地環境を創出する”冬期湛水(たんすい)”を試行しています。
ウェットランドに近接する千束谷とよばれる谷戸に棚田を復元し、冠水前のウェットランド整備予定地内に生息していたザリガニ等を職員の手で移植し冬期のコウノトリ餌場環境を確保する取り組みを行いました。
 
<冬期湛水した水田> <谷戸の整備状況>
当地に飛来したコウノトリの経過について
平成17年4月下旬頃
 ○ 灰塚ダムのウェットランド整備予定地に飛来
平成17年5月25日
 ○ 観察する際の注意事項を記した看板を現地に設置
 ○ 鳥類の専門調査員による追跡調査の実施(5月27日まで3日間実施)
 ○ 調査員による現地での観察を開始
  ※以後7月4日まで毎日コウノトリの姿を確認
平成17年5月27日
 ○ 当工事事務所のホームページに”コウノトリ情報”コーナーを新設し、日々の観察情報や写真などの提供を開始
平成17年7月3日
 ○ 灰塚ダムモニタリング委員会の委員により現地視察を実施
  コウノトリをウェットランド整備予定地(県道から見える場所)で確認。
 ○ 第2回灰塚ダムモニタリング委員会を三次市内で開催
  現個体を定着させる方法について以下の意見が出る。
   
湛水により現在ねぐらとしている橋脚が水没し、採餌環境も減少する。このため、フロート型のねぐらをつくるとか、ウェットランドの谷戸や大谷地区に湿地を確保し、ザリガニやドジョウを放流するなどの対策を検討してほしい。また、周辺の水田に冬季に水を張ることも有効と考えられる。
餌となるドジョウの放流については、安易に外国産のものを放流しないようにするべきである。
採餌環境として期待できるウェットランドの谷戸を早く湿地環境に復元する必要がある。また、営巣木となる松の木を大事にするとともに、密集していれば間伐することなども考えられる。
ダム事業においてコウノトリの保護をどこまで行うのか明確にすべきと考えられる。
  :第2回灰塚ダムモニタリング委員会の議事要旨は、当工事事務所のホームページ
 ”お知らせ”に掲載しています。
平成17年7月5日
 ○ コウノトリの姿が確認できなくなる。
平成17年7月13日(新聞情報)
 ○ コウノトリの姿が岡山市灘崎地区の水田で確認される。
平成17年7月28日
 ○ 灰塚ダムの試験湛水を開始する。
平成17年8月8日(新聞情報)
 ○ コウノトリの姿が福岡市東区の人工島(アイランドシティ)で確認される。
平成17年8月22日
 ○ 灰塚ダムのウェットランド整備予定地内の谷戸の一部(約13a)を整備する。
注)谷戸全体の面積は150a
平成17年9月6日
 ○ コウノトリの姿が灰塚ダムのウェットランド整備予定地内の谷戸で再び確認される。
 ○ 台風14号が長崎県諫早市付近に上陸する。
平成17年9月8日
 ○ コウノトリの姿が再び確認できなくなる。
平成17年10月2日(新聞情報)
 ○ コウノトリの姿が香川県綾歌郡綾南町で確認される。
平成17年11月16日
 ○ 灰塚ダムのウェットランド整備予定地内の谷戸の一部(約8a)を追加整備する。
平成17年11月26日
 ○ ウェットランドの計画・整備について指導・助言を頂いてる10名の専門家による現地視察が行われる。
平成17年11月下旬
 ○ 大谷地区の水田跡地の一部を湿地化する。
平成18年1月11日
 ○ 灰塚ダムのウェットランドに近接する生活再建地(のぞみが丘)の皆さんの協力を頂き、冬期間水田に水を張って湿地環境(主として鳥類の採餌環境)を創出する”冬期湛水”の試行を始める。
   冬期湛水を行う水田の面積は約6,000㎡(6反)、今後2年間の試行を予定。
平成18年3月7日
 ○ 灰塚ダム試験湛水において、貯水位がダムの満水(サーチャージ水位)に到達。
平成18年3月18日
 ○ 谷戸整備が概成する。
平成18年4月1日
 ○ コウノトリの姿が三度灰塚ダム知和ウェットランド整備予定地内で確認される。
平成18年4月7日
 ○ 灰塚ダム試験湛水完了予定。
<湖面上空を舞う雄壮な姿・・・撮影:平成18年4月1日>
<ウェットランド予定地の水辺で休憩・・・撮影:平成18年4月5日>
■問い合わせ先
 国土交通省中国地方整備局 江の川総合開発工事事務所
  副所長(技術)
やまだ けいいち
山田 啓一
  調査設計課長
しょうじ しゅんすけ
庄司 俊介
  調査設計係長
いりかわ なおゆき
入川 直之
 TEL(0824)72-3301(代表)

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転写等の際にはあらかじめの江の川総合開発工事事務所に御連絡ください。