温井ダムには、洪水調節を目的とした放流設備が3種類、河川環境の保全と水道用水の供給を目的とした取水設備と利水放流設備がそれぞれ1種類設けられています。
洪水調節
  ■放流設備案内写真
  中位標高放流設備
 比較的小規模な洪水に対する洪水調節用として、中位標高放流設備が標高320メートルの丁度ダムの中ぐらいの位置に2門設けられています。これは、2門で毎秒60立方メートルの水を放流する能力をもっています。
■中位標高放流設備写真
  常用洪水吐き放流設備
 中位標高放流設備の能力を超える大規模な洪水の場合には、その下、本ダムの最下部、標高280メートルに位置している常用洪水吐き放流設備で放流します。常用洪水吐きは4門あり、全体で毎秒1,100立方メートルの水を放流する能力をもっています。1門当たりでは毎秒275立方メートルとなりますが、これは25メートルプールが1秒でいっぱいになる量であり、相当な規模の量となります。 ダムの下流側にはこれを開閉するゲートがついていますが、ダムが非常に高いため、ゲートの設計水深は約 106メートルとなり、日本最大規模のものとなっています。
    ■常用洪水吐き写真
  非常用放流設備
 ダムの頂上部の天端中央部には、非常用放流設備が設けられています。これは、洪水時最高水位を超える恐れがあるほどの大洪水が発生したときだけに使用されます。ゲートは全体で5門あり、5門で毎秒2,000立法メートルの放流能力があります。
■非常用洪水吐き写真
  洪水における温井ダムの効果
 平成11年9月洪水における温井ダムの効果
 大型で強い台風18号の影響により、広島県北部を流れる滝山川では、上流の松原観測所において降り始からの雨量が164mmを記録しました。なかでも10時から11時にかけて1時間で約80mmもの雨量を観測しました。
 温井ダムはまだ建設中ということもあって洪水調節が出来ない状況でしたが、温井ダム地点での最大流入量約910立方メートル/秒に対し、堤内仮排水路及び常用洪水吐きからの自然越流により、約460立方メートル/秒の放流(自然越流)となり、結果的に約450立方メートル/秒を調節することが出来ました。この結果により滝山川 0k-400m付近では水位が約1.2m低下したものと考えられます。
■常用洪水吐き放流状況
■下流河道の状況(H29最大流入時の効果)
河川環境保全 水道用水供給
  選択取水設備
■ダム平面図
 取水設備としては、ダムのすぐ上流左岸側の斜面に沿って設けられた選択取水設備が設置されています。
 通常このような取水設備は、ダム本体と一体に直立の取水塔の形式で設けられていますが、温井ダムはアーチ式でありダム本体に設けることができないので、ダム本体とは別の施設となっています。
 この選択取水設備は、貯水池の水温や水質の状況に応じて取水する深さを自由に選択できるように、多段式と多重ゲートを組み合わせ、さらに斜樋形式とした構造となっています。この構造は全国でも初の試みであり、最大で毎秒12立方メートルの取水能力をもっています。ここで取水された水は、利水トンネルを通って、下流に設けられた減勢工へ放流される構造となっており、流量の調節は、下流に設けられたバルブにより必要量に調節されますが、一部は発電用としてトンネルの中で分岐され、温井発電所に導かれた後、河川に戻されます。
■選択取水設備写真
  利水放流設備
 河川環境の保全、水道用水供給のための放流は、利水放流設備によりダム直下流に放流されます。なお、放流される水は発電に利用するため、放流管の途中で発電用に分岐されます。主バルブと補助バルブがあり、12立方メートル/秒まで放流することが出来ます。
  ■利水放流設備放流写真     ■利水制水バルブ室写真

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国土交通省 中国地方整備局 温井ダム管理所
TEL 0826−22−1501