因幡・国府のうつろう流れ 殿ダム・袋川流域風土記

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万葉の里・国府を伝える二歌碑


大伴家持

大伴家持

碑文の前書きに「天平宝字三年春正月一日、因幡国庁に於て饗を国郡の司等に賜ふ宴の歌一首」とあるように、この歌は前年に因幡国守として当地に赴いた大伴家持が、天平宝字3年(759)1月1日に国内の官吏を集めて祝賀の式を執り行い、続けて催された宴の席上にて詠み上げたものです。淳仁天皇即位後の初朝賀の日にもあたり、「新年の元旦の今日、豊作の予兆である大雪が降り、この汚れない雪のように、よい事が次々と降り積もりますように」と因幡国庁にて天皇を讃える歌を詠み、『万葉集』を締めくくる4516首目の最後の歌としました。現在残されている資料の中で、因幡国赴任中に家持が詠んだ唯一の歌といわれています。

新しき 年のはじめの 初春の 今日降る雪の いや重け吉事


読み人知らず

宇倍神社の亀紋

万葉集』巻十の中に収められている一首ですが、詠み手はわかっていません。原歌では「今城」ですが、今木山のことではないかと考えられています。散る藤の花を惜しむかのように、今木山の方へ飛んでゆくほととぎすを見ているといった情景が偲ばれます。今木山が庁から近いため、川上貞夫氏の提唱により、昭和34年12月21日に佐佐木博士の奉賛歌碑建立と同時に除幕式が行われました。

藤波の 散らまく惜しみ ほほとぎず 今木の丘を 鳴きて越ゆなり