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殿ダムの概要と役割

殿ダムの規模、構造についてご説明します。

ダムの諸元

ダム  
河川名 千代川水系袋川
位置 鳥取県鳥取市国府町殿地内
形式 ロックフィルダム
堤高(高さ) 約75メートル
堤頂長(長さ) 約294メートル
堤体積(体積) 約206万立方メートル
堤頂標高(海抜からの標高) EL 200.0メートル
貯水池  
集水面積 38.1平方キロメートル
湛水面積 0.64平方キロメートル
総貯水容量 12,400,000立方メートル
有効貯水容量 11,200,000立方メートル
洪水時最高水位 EL 194.5メートル
平常時最高水位 EL 182.8メートル
最低水位 EL 163.0メートル

ダムの標準断面図

殿ダムはロックフィルダムという種類のダムです。ロックフィルダムとは、土や岩で積み上げられたダムのことです。このダムは大きく分けて、コア、フィルター、ロックの3つの部分からできています。

コア
水をせきとめる最も重要な部分。細かい土を使用します。
フィルター
コア部分の土が流れるのを防ぐ部分。コアの両側にあります。粗めの土を使用します。
ロック
ダム全体を押さえ、安定させる部分。岩石を使用します。

ダムの貯水池容量配分図

ダムの貯水池容量配分図

殿ダムの役割

治水

洪水の被害が少なくなり、より安心した暮らしができるようになります。

鳥取市近郊におきた水害は、文献などで確認出来る大きなものだけでも、約400年前から17回も発生しています。 水害の原因は、千代川と袋川の流れ方にあると考えられ、江戸時代、大正時代以降と何度か千代川の工事が行われましたが、近年になってもなお大きな水害に立て続けに見舞われています。 ダムには、洪水の一部を貯めながら、ダム下流の川へ流す働きがあります。これによりダム下流の川の水位が下がり洪水の被害を少なくすることができます。

千代川流域は、これまでに幾多の洪水被害を被っています。

千代川流域の過去の主な水害

発生年月(事象) 主な洪水被害
大正元年9月(熱帯低気圧) 死者70名、家屋倒壊1,402戸、家屋浸水11,369戸、農地被災3,761ヘクタール
大正7年9月(台風) 死者30名、家屋倒壊702戸、家屋浸水13,186戸、農地被災2,233ヘクタール
大正12年9月(台風) 死者2名、家屋倒壊74戸、家屋浸水11,032、農地被災343ヘクタール
昭和9年9月(室戸台風) 死者11名、家屋倒壊1,476戸、家屋浸水7,529戸、農地被災922ヘクタール
昭和34年9月(伊勢湾台風) 家屋倒壊73戸、家屋浸水5,432戸、農地被災446ヘクタール
昭和36年9月(第2室戸台風) 死者2名、家屋倒壊87戸、家屋浸水1,404戸、農地被災142ヘクタール
昭和51年9月(台風17号) 死者2名、家屋倒壊12戸、家屋浸水732戸、農地被災185ヘクタール
昭和54年10月(台風20号) 家屋浸水1,355戸、農地被災510ヘクタール
平成2年9月(台風19号) 家屋浸水107戸、農地被災17ヘクタール
平成10年10月(台風10号) 家屋浸水278戸、農地被災15ヘクタール

千代川流域の過去の主な水害

千代川流域について

千代川は、標高1,319メートルの沖の山を源とし、全長52キロメートル、全流域面積1,190平方キロメートルの一級河川です。鳥取市・ 八頭町・智頭町・若桜町の1市3町にまたがり、流域人口は約20万人にのぼります。  千代川支流の袋川は、標高1,310メートルの扇ノ山を源とし、全長28.4キロメートル、全流域面積は41.1平方キロメートルの一級河川です。千代川には、袋川、八東川、野坂川、曳田川など多くの支流がありますが、そのなかでも袋川は鳥取市市街地を横断して千代川に合流しているため、一度洪水になれば大きな被害が発生します。

世界・日本・鳥取県の河川の勾配

千代川、袋川は急流であるため、川の水が多いときと少ないときの差が激しく、洪水が起こりやすい河川です。

千代川流域の洪水対策のためには、河川改修とあわせて、ダムによる洪水調節が必要です。

昭和54年の洪水は40~50年に一度発生する規模の洪水でした。このため昭和59年3月、100年に一度発生する規模の洪水(計画規模の洪水)に対し、河川改修とダムによる洪水調節を組み合わせた沿川の安全性を確保する計画がたてられました。

基本高水量配分図

基本高水流量配分図とは、計画規模の洪水時に川を流れる水の量を表した図です。

計画規模の洪水が起こったとき、ダムに流れ込んでくる毎秒400立方メートルの水の一部を溜め込み、下流に流れる水の量を毎秒150立方メートルまで減らすことで、ダム下流域の安全性を高めます。

殿ダムの効果(概念図)

殿ダムの洪水調節により、鳥取市街上流部(国府町宮下付近)での洪水時の水位が概ね60センチメートル低下し、鳥取市街及び周辺地域の洪水被害が軽減されます。

上の写真のとおり、鳥取駅南側の住宅街では、昭和20年代と比べたくさんの住宅や工場などが建っています。
  洪水を防ぐため、袋川の川幅を広げるなどの対策を行うには川沿いにお住まいのたいへん多くの方々に移転をお願いしなければなりません。さらに橋の架け替えといった工事も必要となり、お金も時間もたくさんかかります。
 そこで、堤防や護岸を整備する河川改修と上流にダムを造る組み合わせが最も効率的であると判断し、袋川の上流にダムを造ることになったのです。

河川環境の保全など

農作物に必要な水を確保します!川 に住む生き物たちが生息できる環境を守ります!

 千代川は、基準地点(行徳)における基準渇水流量(*1)が毎秒4.26立方メートルであり、正常流量(*2)毎秒14立方メートルを大きく下回っているため、>新たに千代川から水を取水するためには、ダムなどによる水資源開発が必要な河川です。  そこで殿ダムでは、鳥取県東部地区の発展には欠くことのできない、水道用水及び工業用水の供給に必要な水を確保し、必要なときにダムに貯めた水を補給します。

  • (*1)基準渇水流量…年間を通して355日を下回らない流量値(渇水流量)で過去10年間で最小のもの。
  • (*2)正常流量…下流における既得の水利権量(水利流量)及び漁業、動植物の保全、地下水位の維持等を総合的に考慮し、渇水時に維持すべきであるとして定められた流量(維持流量)の双方を満足する流量。

平成6年8月渇水時の袋川(鳥取市国府町玉鉾橋付近)

 上の写真は、近年最も水が少なかった平成6年8月の袋川の状態です。川に水がほとんどありません。平成6年と最近10年間の平均を比べてみるとずいぶん水位が低いことがわかります。このような状態では、川の生き物や農作物への被害が出てしまいます。  しかし、ダムがあれば、ダムに貯めていた水を流すことで川の水を確保できるため、川の環境が守られます。

千代川流域の過去の主な渇水被害

発生年月 被害状況
昭和48年 農作物に影響(県全体で7,089ヘクタール、約14億3千万円の被害)
簡易水道で給水制限
昭和53年7月 農作物に影響(県全体で5,655ヘクタール、約34億9千万円の被害)
簡易水道で給水制限(鳥取市、八頭郡など12市町村で時間給水・断水)
昭和57年6月 農作物に影響(県全体で1,148ヘクタール、約10億3千万円の被害)
平成2年8月 農作物に影響(県全体で410ヘクタール、約3億6千万円の被害)
       簡易水道で給水制限
平成6年7月 農作物に影響(県全体で3,821ヘクタール、約23億円の被害)
簡易水道で断水(鳥取市、岩美郡、八頭郡などで時間給水・断水)

渇水被害を伝える記事

鳥取県東部地域の発展のために必要な水を確保します!

鳥取県東部地域の発展ために必要な水を確保します!

川の水が少なくなった時でも、ダムの水を流すことによって工業用水や生活用水が不足しないようにします。

工業用水

鳥取県企業局の工業用水として、最大1日30,000立方メートルの取水を可能にします。

水道用水

鳥取市の水道用水として、最大1日20,000立方メートルの取水を可能にします。これは、約4万人分の使用量に相当する量で、鳥取市のこれからの発展には欠かせないものです。

学校や病院などの公共施設の水を安定して供給します。

生活用水も安心です。1日約4万人分の水道水を供給します。

平成6年7月は全国各地で深刻な水不足が進み、鳥取県内でも節水を呼びかける記事が多く掲載されました。

平成6年7月渇水時の千代川(鳥取市向安) 用飲料水を確保するため、広報車で節水を呼びかけたり、千代川に水路を掘って水を引き込むなどさまざまな対策が行われました。

発電

クリーンな電気を作ります!

ダムから流す水を利用して、一般家庭約1,400戸分に相当する電気を作ります。

殿ダムに貯めた水は、水力発電にも利用します。水力発電は、自然の水を使うため、自然に優しい発電です。放流する水で発電を行い、最大で1,100キロワットの電力を効率よく作ります。