遷移が戻る
遷移の進み方は、自然の流れの中では、一方通行です。何かが起きないかぎり、戻ることはありません。でも、伐採したり、山火事が起きたり、土砂くずれが発生したり…。遷移が止まったり、元に戻ったりするような事件もあります。例えば、つぎのような事件です。
- 樹木の伐採(写真)
- 一定期間ごとに伐採を繰り返すと、その段階から先には進めません。
- 伐採が繰り返される林(薪炭林)
- 写真は、樹木を伐採した直後の林です。伐採されたことで、遷移が戻りました。
昔、まきや炭を採るために使われた薪炭林(しんたんりん)では、数年~十数年に1度、伐採していました。伐採のたびに林は、裸地(らち)から森林(二次林 )までの移り変わりを繰り返します。 - 山火事(写真)
- 山火事 が起きると、木々は焼けこげて、裸地(らち)にもどってしまいます。
- 山火事跡の林
- 写真は、2007年に広島市の武田山で起きた山火事跡の様子です。
山火事が発生すると、植物は地上部が焼かれて、裸地の状態まで遷移が戻ります。山火事がたびたび起きると、遷移が進まず、樹木がまばらにしか生えない景観になってしまいます。 - 土砂移動(写真)
- 土砂くずれが起きると、土ごと林はなくなり、裸地(らち)に戻ってしまいます。
- 土砂移動跡の林
- 写真は、1999年に廿日市市極楽寺山で起きた土砂災害の跡です。林も土もなくなってしまったこのような場所では、裸地からの遷移が始まります。写真の場所でも、樹林に接した所から、徐々に低木が戻ってきています。



※「きびしい場所」では、環境がきびしすぎて、遷移がなかなか進みません。遷移が戻るわけではありませんが、遷移が進まない、特殊な例です。